この単元は、区分所有法の中でも特に数字の暗記と決議ルールの違いが細かく問われる最大の難所です。
ここで確実に押さえるべき最重要ポイントは2つあります。
1つ目は、重大変更や大規模滅失の復旧などは「出席者」を基準にした新しい決議方法をとるのに対し、建替え等の極めて重要な決定は従来通り「全体」を基準にした厳しい数字(各5分の4以上等)が求められることです。
2つ目は、大規模滅失の復旧では「反対者」から賛成者へ買い取りを請求するのに対し、建替え決議では「賛成者」から反対者へ売り渡しを請求するという、請求の主語が逆転する点です。
修繕して住み続けるのか、新しく建て替えるのか、その目的に応じて法律が誰をどう保護しようとしているのかを意識しながら、数字とルールを整理して学習を進めていきましょう。
ボリュームがありますので、3回に分けて投稿します。
共用部分の保存・管理・変更行為
保存行為
電球の取り換えなど。
区分所有者が単独でできる。
規約によって別段の定めができる。(規約の内容によっては「管理組合が行う」「事前承認が必要」など、単独実施が制限されることがある。)
特別の影響を受ける者の承諾は不要。
管理行為
損害保険契約など。
出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各過半数の集会決議で決める。
規約によって別段の定めができる。
特別の影響を受ける者の承諾は必要。
軽微な変更
形状または効果の著しい変更を伴わない変更。階段のスロープなど。
出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各過半数の集会決議で決める。
規約によって別段の定めができる。
特別の影響を受ける者の承諾は必要。
重大な変更
形状または効果の著しい変更を伴なう変更。階段からエレベーターへ。
区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって、議決権の過半数を有するものが出席(過半数を上回る割合を定めることができる)。
出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各4分の3以上の集会決議で決める(1/2を超える割合まで減らす事ができる)。
特別の影響を受ける者の承諾は必要。
なお、共用部分の瑕疵(欠陥)の除去に必要な変更や、高齢者、障害者等の移動または施設の利用に係る身体の負担を軽減するために必要となる変更の場合は、重大変更の決議要件のうち、出席者ベースの賛成割合(各4分の3以上)が 各3分の2以上に緩和される。ただし、定足数の要件は別途必要。
復旧と建替え等
復旧(小規模滅失)
建物価格の2分の1以下部分の滅失。
共用部分は、復旧や建替えの決議等があるまでは各自で直すことができる。
小規模滅失の復旧決議は出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各過半数の集会決議で決める。
規約で別段の定めができる。
復旧(大規模滅失)
建物価格の2分の1を超える部分の滅失。
区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって、議決権の過半数を有するものが出席(過半数を上回る割合を定めることができる)。
出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各3分の2以上の集会決議で決める。
規約で増減できない。
別段の定めができない。
大規模復旧決議:決議の日から2週間を経過したときは、その決議に賛成した区分所有者以外の区分所有者は、決議賛成者の全部または一部に対し、建物および敷地利用権を時価で買い取るべきことを請求できる。買取指定者がいる場合は、その者にのみ請求する。
建替え
区分所有者(議決権を有しないものを除く)および議決権の各5分の4以上の集会決議で決める。
規約で増減できない。
別段の定めができない。
※建替え決議:決議に賛成した区分所有者が、建替え決議に反対し、参加しない区分所有者に対して、建物および敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求できる。
建物更新・取壊し
区分所有者(議決権を有しないものを除く)および議決権の各5分の4以上の集会決議で決める。※客観的事由がある場合は各4分の3に緩和。
建物敷地売却
区分所有者(議決権を有しないものを除く)議決権に加え、敷地利用権の持分価格も含めた各5分の4以上の集会決議で決める。※客観的事由がある場合は各4分の3に緩和。
区分所有法 数字のまとめ
※区分所有者(議決権を有しないものを除く)
| 区分所有者および議決権の | 5分の4以上 | 建替え決議 |
|---|---|---|
(出席要件あり) 出席した区分所有者およびその議決権の | 4分の3以上 | ①規約の設定・変更・廃止 ②管理組合法人の設立・解散 ③共用部分の重大変更(4分の3→2分の1を超える割合に設定可) |
| 3分の2以上 | ①規約の設定・変更・廃止 ②管理組合法人の設立・解散 ③共用部分の重大変更(4分の3→2分の1を超える割合に設定可) | |
| 集会に出席した区分所有者およびその議決権の | 過半数 | ①管理者の選任・解任 ②小規模滅失の復旧決議 ③共用部分の軽微変更 ④共用部分の管理行為 |
| 区分所有者および議決権の | 5分の1以上 | 集会の招集請求 |
| 単独 | ①共用部分の保存行為 ②小規模滅失の復旧(決議があるまで) |
義務違反者に対する措置
区分所有法や規約、集会で定められた、マンションの使用・管理上のルールに違反した区分所有者や占有者などに対して、是正させるための制度。
区分所有者または占有者が建物の保存に有害な行為、その他建物の管理または使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合またはその行為をするおそれがある場合、行為の停止等の請求ができる。
区分所有者の共同の利益に反する行為により、共同生活上の障害が著しく、共同生活の維持を図ることが困難な場合、専有部分の使用禁止の請求ができる。
区分所有者の共同の利益に反する行為により、共同生活上の障害が著しく、他の方法によっては共同生活の維持を図ることが困難な場合、区分所有権等の競売請求ができる。
占有者の共同利益違反行為に反する行為により、共同生活上の障害が著しく、共同生活の維持を図ることが困難な場合、占有者に対する契約解除及び引渡しの請求ができる。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 区分所有法3」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。

