三大書面の最後の1つ、契約書、37条書面について学習していきましょう。
35条書面に比べると、記載事項も少なく簡単な単元に感じます。
ただ、単元の内容自体は少なくても、35条書面、37条書面、媒介契約書がミックスされた問題が出ると、とたんに戸惑う受験生が多いです。
宅建試験は単元ごとに内容をしっかり覚えるのはもちろん、他の単元とのミックス問題に備えて、内容の比較をしておきましょう。

三大書面の引っ掛け問題対策をしておきましょう。
37条書面の作成と交付
37条書面は電子データ等の電磁的記録ではいけない。書面で残す。(2022.3月現在)
37条書面の作成、交付の義務は宅建業者にあり、当事者が省略を承諾(希望)してもできない。
37条書面は契約成立後、遅滞なく交付する。
交付場所はどこでもOK。
宅建士の役割
37条書面の作成、交付、説明は、宅建士ではなく従業員にさせてもよい。


宅建士が交付するときも、請求がない限り宅建士証の提示義務はない。
宅建士の記名押印は必要だが、専任か一般かは関係ない。


重要事項説明書に記名押印した宅建士と同じか否かは関係ない。
宅建業者の役割
契約当事者間のトラブル防止を目的とし、契約の両当事者に交付する。


宅建業者が売買契約の当事者となる場合であれば、その業者が作成して相手方に渡す。


業者間の取引でも、媒介や代理等を行う場合で、買主が業者のときでも、37条書面を作成・交付しなければならない。
1つの取引に複数の業者が関与している場合、すべての宅建業者が宅建士をして記名押印させる義務がある。
業者間取引の交付義務


1.Aが売主、Bが買主の場合
→それぞれが相手に対して交付の義務がある(自分には交付義務なし)
2. Aが貸主、Bが借主の場合
→自ら貸借なので、宅建業法のルールなし
3. Aが売主、Bが買主、CがAの媒介、DがBの媒介の場合
→CDともにABへ交付義務あり
4. Aが売主、Bが買主、CがAの代理、DがBの代理の場合
→CDともにABへ交付義務あり
37条書面記載事項 (35条書面との比較あり)
必要的記載事項
必要的記載事項は必ず記載しなければいけない事項。


任意的記載事項
任意的記載事項は定めがあるなら必ず記載、定めがないなら記載しなくてよい。


37条書面の場合、定めがないなら省略できるが、35条書面の場合は「なし」と明記しなければならない。
問題に挑戦!
宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述は宅地建物取引業法の規定によると誤っている。どこが誤っているのかを見つけ、理由を述べよ。
1.Aは、建物の貸借に関し、自ら貸主として契約を締結した場合に、その相手方に37条書面を交付しなければならない。
2.Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、宅地建物取引業者Cと宅地の売買契約を締結した。Bが宅地建物取引士をして37条書面に記名押印させている場合、Aは宅地建物取引士をして当該書面に記名押印させる必要はない。
3.土地付建物の売主Aは、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取決めをしたが、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなかったので、37条書面にその取決めの内容を記載しなかった。
4.Aが区分所有建物の貸借の媒介を行う場合、損害賠償額の予定又は違約金に関する特約の内容について、37条書面に記載する必要はないが、売買の媒介を行う場合は、当該内容について37条書面に記載する必要がある。
答えは全部バツです。詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 37条書面」を御覧ください。