毎年、問45で出てくるお馴染みの単元です。
範囲がせまいので、毎年、似たような問題がでています。
過去問レベルは必ずできるようにしておきましょう。
宅建業者自ら売主の場合、新築住宅を販売する際は厳しいルールがあります。
ほかの単元の復習もしながら、学習を進めていきましょう。
覚える内容も少ないので、ここは絶対1点取りましょう。
買主を守るための法律
欠陥住宅を買った場合、通常は売主(宅建業者)に責任追及できるが倒産等してしまったら責任追及できない。
住宅瑕疵担保履行法は、買主保護と売主の責任履行を確保するためのルール。
宅建業者の資力確保義務
お客さんに新築住宅を引き渡す、自ら売主となる宅建業者や請負人(建設業者)は、新築住宅についての瑕疵(種類・品質に関して契約の内容に適合しない状態)担保責任の履行の実効性を確保するために、保証金を供託するか、保険に加入しなければならない。
つまり、瑕疵担保責任を履行できるように、資力確保を義務付けている。
買主が宅建業者の場合は、資力確保義務は生じない。
媒介や代理をする宅建業者も、資力確保義務は生じない。
新築住宅の定義
新築住宅とは建設工事完了日から起算して1年以内で、人の居住の用に供したことのない持ち家、賃貸住宅。
事務所や倉庫は対象外。
新築後 | 新築後 | 新築住宅か? |
1年以内 | 未使用 | 新築住宅 |
1年以内 | 使用済み | 新築住宅ではない |
1年超 | 未使用 | 新築住宅ではない |
資力確保義務の対象となる責任
資力確保の義務付けの対象となる瑕疵担保責任は、住宅品質確保法で定められた「新築住宅に関する瑕疵担保責任」つまり、住宅の構造耐力上主要な部分(基礎や壁・柱など)または雨水の侵入を防止する部分(屋根や外壁・雨水排水管)等について引渡しから10年、自ら売主となる宅建業者や請負人の建設業者に義務付けられている責任。
これには損害賠償請求や解除のほか、追完請求、代金減額請求が含まれている。
資力確保措置の届出義務
新築住宅を引き渡した宅建業者は、基準日ごと(毎年3月31日)において、保証金の供託及び保険契約の締結の状況について、免許権者に届け出なければならない。
届出先 | 免許権者 |
期限 | 基準日から3週間以内 ※引き渡した日からではない |
内容 | ①基準日までの過去10年間に引き渡した新築住宅の戸数 ②そのうち供託により履行確保措置を講じた戸数 ③保険加入により履行確保措置を講じた戸数 |
ペナルティ | 届出をしないと50万円以下の罰金 資力確保措置をせず、届出の義務も怠った場合、基準日の翌日から起算して50日を 経過した日から、新たな新築住宅の売買契約を締結をすることができない |
禁止違反 | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその併科 |
住宅販売瑕疵担保保証金
購入者は、宅建業者が倒産などしたときは、供託所から還付を受けることができる。
宅建業者は、毎年、基準日(3月31日)から3週間を経過する日までの間に、住宅販売瑕疵担保保証金を供託しなければならない。
供託先 | 宅建業者の主たる事務所の最寄りの供託所。 |
金額 | 基準日(3月31日)から過去10年さかのぼって引き渡した新築住宅の総戸数に応じて 算定される額以上の額。 ※住宅販売瑕疵担保責任保険に加入した新築住宅は、総戸数から除く ※床面積が55㎡以下の新築住宅の合計戸数の算定にあたっては 2戸をもって1戸と数える。 |
供託方法 | 金銭のほか有価証券もOK ①金銭・国債(100%)②地方債・政府保証債(90%)③その他の有価証券(80%) |
顧客への還付等によって 供託額が不足したら | 国土交通大臣から還付があった旨の通知を受けたとき、または不足を知ったときから 2週間以内に不足額を供託しなければならない。 供託後2週間以内に免許権者に届出なければならない。 |
説明義務 | 宅建業者は自ら売主となる新築住宅の買主に対し、契約を締結するまでに 供託所の所在地等について、書面を交付して説明しなければならない。 (買主の承諾を得た上での、電磁的方法による提供も含む) |
取り戻し | 宅建業者は基準日において、保証金の額が法定額を超えることとなった場合は 免許権者の承認を受けて超過額を取り戻すことができる。 |
主たる事務所の移転 | 金銭のみ→保管替え請求。有価証券を含む→現実に供託しなおすことが必要 |
住宅販売瑕疵担保責任保険
宅建業者は顧客に販売する新築住宅について、10年以上の契約期間の住宅販売瑕疵担保責任保険をかけ、その保険料を支払わなければならない。
瑕疵担保責任が生じたときは、宅建業者は、瑕疵担保責任の履行による損害を填補するために、保険法人に保険金を請求する。
支払い | 宅建業者(売主)が保険料を支払う。 ※買主ではない |
目的 | 宅建業者が瑕疵担保責任を履行したことによって生じた当該宅建業者の損害を填補するものであること。 |
請求 | 宅建業者の倒産等によって、相当の期間を経過しても、宅建業者が瑕疵担保責任を履行しない場合は 買主が保険金を請求することができる。 |
条件 | 損害を填補するための保険金額が、2,000万円以上であること。 有効期間が10年以上(買主が新築住宅の引き渡しを受けたときから10年以上) |
注意 | 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更・解除をすることができない。 |
住宅紛争の解決
欠陥住宅について当事者間で話し合いがまとまらないことがあるので、解決するために裁判外の紛争処理機関である、指定住宅紛争処理機関が設けられている。
指定住宅紛争処理機関は、紛争の当事者の双方または一方からの申請があれば、その紛争のあっせん、調停、仲裁を行うことができる。
例)住宅瑕疵担保責任保険契約付き新築住宅、リフォーム瑕疵保険付き住宅、既存住宅売買瑕疵保険付き住宅
問題に挑戦!
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険の締結に関する次の記述は、誤っている。どこが誤っているのかを見つけ、理由を述べよ。
1.宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物取引業者である買主との間で新築住宅の売買契約を締結し、その住宅を引き渡す場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。
2.住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡し時から10年以上有効でなければならないが、当該新築住宅の買主の承諾があれば、当該保険契約に係る保険期間を5年間に短縮することができる。
3.宅地建物取引業者が住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、基準日において、販売新築住宅の合計戸数を基礎として算定する基準額を超えることとなった場合、宅地建物取引業法の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の承認がなくても、その超過額を取り戻すことができる。
4.自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について届出をしなければ、当該基準日から起算して50日を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
答えの詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 住宅瑕疵担保履行法」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。