宅建業者や宅建士が宅建業法のルールを破ったときに、ペナルティを受ける「監督処分」について学習します。
覚えることがいっぱいある〜、どうしよ〜とパニックになる方もいらっしゃいますが、全部を丸暗記する必要はありません。
量は多いですが、全てを一字一句完璧に覚える…というよりは、ポイントをおさえつつ、耳で覚えるという方法で勉強すれば大丈夫です。
過去12年で毎年出題されている単元になりますので、捨てずになんとか1点もぎ取りましょう。
ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
監督処分とは
宅建業者や宅建士が、法の規定を守らない場合、免許権者や都道府県知事等から監督処分を受ける。
宅建業者の監督処分
指示処分、業務停止処分、免許取消処分がある。
宅建業者への指示処分
対象事由
①業務に関し、取引の関係者に損害を与えたとき、または損害を与えるおそれが大であるとき。
②宅建士が監督処分を受けた場合で、宅建業者の責めに帰すべき事由があるとき。
③業務に関し、取引の公正を害する行為をしたとき、または取引の公正を害するおそれが大であるとき。
④宅建業法の規定または、住宅瑕疵担保履行法における瑕疵担保保証金の供託義務の規定等に違反したとき。
⑤業務に関し、他の法令(住宅瑕疵担保履行法およびこれに基づく命令を除く)に違反し、宅建業者として不適当と認められるとき。
処分権者
①免許権者(免許を与えた国土交通大臣or都道府県知事)、地方整備局長等(国土交通大臣からの権限委任された者)も含む。
国土交通大臣が宅建業者に対して監督処分をしようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議が必要。
②業務地を管轄する都道府県知事(宅建業者が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事)
宅建業者への業務停止処分
対象事由
一定の事由に該当した場合、免許権者等または業務地を管轄する都道府県知事は、1年以内の期間を定めて、業務の全部または一部の停止を命じることができる。
※最も長くて1年。業務の一部に限って停止も可能。「することができる」のであって、「しなければならない」わけではない。
業務の全部停止を命じられた場合は広告もできない。
一定の事由とは
①業務に関し、他の法令(住宅瑕疵担保履行法およびこれに基づく命令を除く)に違反し、宅建業者として不適当と認められるとき。
②宅建士が監督処分を受けた場合で、宅建業者の責めに帰すべき事由があるとき。
③指示処分に違反したとき。
④宅建業に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき。
⑤宅建業法の規定に基づく国土交通大臣または知事の処分に違反したとき。
⑥宅建業法の一定の規定に違反したとき。
一定の規定とは
・誇大広告等の禁止規定に違反したとき。
・取引態様の明示をしなかったとき。
・媒介契約書を交付をしなかったとき。
・重要事項の説明および35条書面を交付をしなかったとき。
・37条書面の交付義務に違反したとき。
・報酬額の限度を超えて報酬を受け取ったとき。
・従業者に従業者証明書を携帯させなかったとき。
・守秘義務に違反したとき。
・事務所ごとの専任の宅建士の設置義務に違反したとき(処分できるのは免許権者のみ)。
・一定の営業保証金に関する規定に違反したとき(処分できるのは免許権者のみ)。
・一定の保証協会に関する規定に違反したとき(処分できるのは免許権者のみ)。
・住宅瑕疵担保履行法における瑕疵担保保証金の供託義務の規定等に違反したとき(処分できるのは免許権者のみ)。
処分権者
①免許権者等(免許を与えた国土交通大臣or都道府県知事)、地方整備局長等も含む。
②業務地を管轄する都道府県知事(宅建業者が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事)。
宅建業者への免許取消処分
対象事由
必要的免許取消事由に該当する場合、免許権者は宅建業者の免許を必ず取り消さなければならない。
①業務停止処分に違反したとき。
②業務停止処分に該当する行為をし、情状が特に重いとき。
③不正の手段で免許を受けたとき。
④心身の故障がある一定の者、破産者で復権を得ない者となったとき。
⑤罪名を問わず禁錮刑以上に処せられたとき。
⑥宅建業法の規定違反、暴力系の犯罪、背任罪により罰金刑以上に処せられたとき。
⑦暴力団員等に該当するとき。
⑧暴力団員等がその事業活動を支配することになったとき。
⑨営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者の法定代理人(法人であるときはその役員)法人の役員、政令で定める使用人が一定の欠格事由に該当したとき。
⑩免許換えをすべき事由に該当しながら、新たに免許を受けていないことが判明したとき。
⑪免許を受けてから1年以内に営業を開始しないとき、または引き続き1年以上営業を休止したとき。
⑫廃業等の届出がなく、その事実が判明したとき。
任意的免許取消事由の場合は、一定事項に該当すれば免許を取り消すことができる。必ずしも免許を取り消すわけではない。
①営業保証金を供託した旨の届出がないとき。
②宅建業者の所在地が不明となったとき。
※官報等で公告し、公告の日から30日を経過しても宅建業者から申し出がない場合は免許を取り消すことができる。
③免許に付された条件に違反したとき。
処分権者
免許権者等のみ
宅建士の監督処分
指示処分、事務禁止処分、登録消除処分がある。
宅建士への指示処分
対象事由
①自分が専任の宅建士として従事している事務所以外の宅建業者の事務所で、専任の宅建士である旨の表示を許し、宅建業者がその旨を表示したとき。
②他人に名義貸しをして、その他人が名義を用いて宅建士である旨の表示をしたとき。
③宅建士として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき。
処分権者
①登録をしている都道府県の知事。
②行為地を管轄する都道府県知事(宅建士が処分の対象となる行為を行った都道府県知事)。
宅建士への事務禁止処分
対象事由
①指示処分の対象事由に該当するとき(指示処分にしても事務禁止処分にしてもよい)
②指示処分に従わないとき
◎都道府県知事は宅建士に対して、1年以内の期間を定めて、宅建士としてすべき事務の全部または一部を禁止することができる
宅建士の3つの法定業務とは
・重要事項の説明
・35条書面への記名
・37条書面への記名
処分権者
①登録をしている都道府県の知事。
②行為地を管轄する都道府県知事(宅建士が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事)。
宅建士は宅建士証をすみやかに、その交付を受けた都道府県知事に提出。
宅建士への登録消除処分
対象事由
宅建士の登録消除事由
①宅建士が登録の欠格事由に該当したとき。
②不正の手段により登録を受けたとき。
③不正の手段により宅建士証の交付を受けたとき。
④事務禁止処分に該当する行為をし、情状が特に重いとき。
⑤事務禁止処分に違反したとき。
宅建士の登録は受けているが、宅建士証の交付を受けていない者の登録消除事由
①登録の欠格事由に該当したとき
②不正の手段により登録を受けたとき
③宅建士としてすべき事務を行い、情状が特に重いとき。
処分権者
登録をしている都道府県の知事。
宅建士は宅建士証をすみやかに、その交付を受けた都道府県知事に返納。
問題に挑戦
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、マルかバツか。
1.Aは、自らが売主となった分譲マンションの売買において、法第35条に規定する重要事項の説明を行わなかった。この場合、Aは、甲県知事から業務停止を命じられることがある。
2.Aは、乙県内で宅地建物取引業に関する業務において、著しく不当な行為を行った。この場合、乙県知事は、Aに対し、業務停止を命ずることはできない。
3.Aは、甲県知事から指示処分を受けたが、その指示処分に従わなかった。この場合、甲県知事は、Aに対し、1年を超える期間を定めて、業務停止を命ずることができる。
4.Aは、自ら所有している物件について、直接賃借人Bと賃貸借契約を締結するに当たり、法第35条に規定する重要事項の説明を行わなかった。この場合、Aは、甲県知事から業務停止を命じられることがある。
答えの詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 監督処分1」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。