意思表示の5つのうち、今回は「錯誤、心裡留保」について学習します。
誰を保護すればよいかに着目して、相関図を書くといいですね。
問題を解いてアウトプットも忘れずに行いましょう。
ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
錯誤
錯誤とは
錯誤とは勘違いで意思表示すること。
錯誤による意思表示は取り消しできる。
表示の錯誤
意思と表示が違う。意思を表示する際に勘違いしてしまった場合。
動機の錯誤
動機の錯誤とは、意思と表示は合致しているが、動機部分で勘違いしてしまったこと。
錯誤を取り消す条件
錯誤の取り消しを主張するには、条件をクリアしなければならない。
①錯誤が、契約などの法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであること。
②表意者(勘違いをした人)に重大な過失がないこと。
③動機の錯誤の場合は、表意者が法律行為の基礎とした事情を相手方に表示していたこと。
表意者(勘違いした人;A)に重大な過失がある場合は、原則として取り消すことはできない。
★取り消しができる場合
①相手方もAに錯誤があることを知っていたり、重大な過失により知らなかった場合。
②相手方がAと同じ錯誤に陥っていた時。
第三者がいる場合
第三者が「善意無過失」の場合は対抗できない。
錯誤取り消しできるのは、表意者等であり、相手方や第三者は取り消しの主張はできない。
心裡留保
心裡留保とは、当事者の一方がわざと真意と異なる意思表示をすること。
心裡留保による意思表示は有効である。
ただし、BがAの真意ではないことを知っていた場合(悪意)や、注意すれば知ることができた場合(善意有過失)は無効。
なお、第三者が「善意」の場合は対抗できない。
問題に挑戦!
AとBとの間で締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。
1.Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失によりBに対し「10万円で売却する」と言ってしまい、Bが過失なく「Aは本当に10万円で売るつもりだ」と信じて購入を申し込み、AB間に売買契約が成立した場合
2.Aは、自己所有の時価100万円の壺を10万円程度であると思い込み、Bに対し「手元にお金がないので、10万円で売却したい」と言ったところ、BはAの言葉を信じ「それなら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
3.Aは、自己所有の時価100万円の名匠の絵画を贋作だと思い込み、Bに対し「贋作であるので、10万円で売却する」と言ったところ、Bも同様に贋作だと思い込み「贋作なら10万円で購入する」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
4.Aは、自己所有の腕時計を100万円で外国人Bに売却する際、当日の正しい為替レート(1ドル100円)を重大な過失により1ドル125円で計算して「8,000ドルで売却する」と言ってしまい、Aの錯誤について過失なく知らなかったBが「8,000ドルなら買いたい」と言って、AB間に売買契約が成立した場合
答えの詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 意思表示2」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。