今回、学習する内容は、「代理とは」「代理権の消滅」「制限行為能力者等の取消し」「代理行為の瑕疵」「自己契約と双方代理」「復代理」です。
いくつものパターンが出てきますので、頭がこんがらがっちゃいそうですが、図解してお伝えしますので、安心してください。
問題を解いていて、「よくわからない」と思ったら、誰を守ってあげたらいいかを考えましょう。

ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
代理とは
本人に代わって当事者となり、契約の締結等をすること。
代理の効果は本人に直接帰属する。


顕名
代理行為をするのに必要な要件は2つ。
①代理人に代理権があること。
②本人の代理人であることを相手方に示していること(顕名)。
もし、代理人が顕名をせずに契約した場合は、代理人自身が契約したとみなす。
この場合、本人に効果は帰属しない。
ただし、相手方が代理人であることを、知っていた場合(悪意)、知ることができる状態(善意有過失)だった場合には、契約の効果は本人に帰属する。


法定代理と任意代理
法定代理とは法律が代理人になる人に代理権を自動的に与えていること。
例)未成年者の保護者の親権者は法定代理人
法律によって、その代理権の範囲が定まる。


任意代理とは本人が自分の意思で代理権を与えること。
例)本人がA不動産に代理権を与えると、A不動産は任意代理人となる
本人から与えられた代理権によって、その権限の範囲が決まる。
権限が決められていない代理人は
①保存行為②利用行為③改良行為をすることができる


代理権の消滅
本人 | 代理人 | |
法定代理 | 死亡 | 死亡 破産手続き開始の決定 後見開始の審判 |
任意代理 | 死亡 破産手続き開始の決定 | 死亡 破産手続き開始の決定 後見開始の審判 |


制限行為能力者の取消
制限行為能力者が任意代理人として、本人の代理人になることができる。
その場合、本人は制限行為能力者を理由に取り消すことはできない。


制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については取り消すことができる。


代理行為の瑕疵
詐欺、強迫、錯誤、心裡留保、虚偽表示によって代理人が契約した場合善意か悪意か等については、代理人を基準に判定。
代理行為の効果は本人に帰属するため、取り消しや無効主張できるのは本人。


特定の代理行為の委託があるときは、本人が悪意または有過失なら代理人が善意であっても主張できない。
例:AとCの通謀虚偽表示


代理人が詐欺や強迫を行った場合、本人の善意・悪意に関係なく、相手方はその契約を取り消すことができる。


自己代理・双方代理の禁止
自己契約 | 双方代理 |
自分が代理人であると同時に、契約の相手方にもなる | 契約をする二人の代理人に同時になる |
原則:認められない(無権代理行為とみなされる) 例外:代理権を与えたものが、あらかじめ許諾を与えている(あるいは追認した)場合や代理人に裁量の余地がない債務の履行の場合はOK | 原則:認められない(無権代理行為とみなされる) 例外:代理権を与えたものが、あらかじめ許諾を与えている(あるいは追認した)場合や代理人に裁量の余地がない債務の履行の場合はOK |


復代理
代理人が与えられた権限の範囲内の行為(事務処理)を、代理人の代わりに行わせるために復代理人を選ぶ。
復代理人の行った効果は、本人に帰属する。
代理人の代理権が消滅したら、復代理人の代理権も消滅する。
復代理人を選んでも、代理人の代理権は消滅しない。


任意代理 | 法定代理 | |
復代理人の選任 | 原則:復代理人を選任することはできない 例外:①本人の許諾があるとき ②やむを得ない事由があるとき | 自己の責任において、いつでも自由に 復代理人を選任することができる |
代理人の責任 | 本人と代理人との間の事務処理契約に 関する債務不履行として本人に対して 責任を負う | 原則:すべての責任を負う 例外:やむを得ない事由によって 復代理人を選任したときは 選任及び監督についてのみ責任を負う |


問題に挑戦!
AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.Bが自らを「売主Aの代理人B」ではなく、「売主B」と表示して、買主Cとの間で売買契約を締結した場合には、Bは売主Aの代理人として契約しているとCが知っていても、売買契約はBC間に成立する。
2.Bが自らを「売主Aの代理人B」と表示して買主Dとの間で締結した売買契約について、Bが未成年であったとしても、AはBが未成年であることを理由に取り消すことはできない。
3.Bは、自らが選任及び監督するのであれば、Aの意向にかかわらず、いつでもEを復代理人として選任して売買契約を締結させることができる。
4.Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。
詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 代理①」を御覧ください。



YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。