今回は、不法行為について学習します。
交通事故でケガをさせたり、不注意で損害を与えたりしたときは損害賠償をしなければいけません。
いわば被害者救済のルールを学ぶ単元です。
不法行為のイメージはしやすいと思いますが、ここに時効や相殺、履行遅滞などが関わってくると混乱する人が多いです。
試験にもよく出ている単元ですので、しっかり学習して、出題されたら1点とりたいですね。

他の単元の復習も一緒にすれば一石二鳥ですね。
一般不法行為
故意、または過失によって、他人の権利や法律上保護される利益を違法に侵害し、損害を与えたものは被害者救済の観点から、その損害賠償責任義務を負わなければならない。
加害者は精神的苦痛に対しても、賠償しなければならない。
慰謝料請求された場合は支払わなければならない。
不法行為によって被害者が即死した場合でも、被害者自身に慰謝料請求権が発生する。
この慰謝料請求権も、普通の金銭債権であり、相続の対象となる。
被害者にも落ち度(過失)がある場合には、これを考慮して損害賠償責任や賠償額を定める。
不法行為に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時に履行遅滞になる。


不法行為による損害賠償


使用者責任
損害賠償
被用者が使用者の事業執行につき、他人に不法行為を働き損害を与えた場合、使用者は被用者とともに損害賠償責任を負う。
使用者と被用者は、被害者に対して不真正連帯債務を負い、それぞれ全額について賠償責任がある。


被用者AがBに対して不法行為をして損害を与えた(交通事故)
就業時間外だが就業中に見える。
Bが悪意重過失でなければ、使用者は責任を負う。→使用者にも損害賠償請求できる。
休日にプライベートでマイカー。→使用者は責任なし。
求償
損害賠償をした使用者は、被用者に求償することができる。
使用者が被用者の選任およびその事業の監督について、相当の注意を払っていたときや、相当の注意を払っていても損害が生じたと考えられるときは、使用者は責任を負わない。


損害賠償をした被用者は、使用者に求償することができる。
使用者の事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度等に照らし、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について使用者に対して求償することができる。


共同不法行為
数人が共同で不法行為を行い、他人に損害を与えたときは連帯して損害賠償責任を負う。


工作物責任
建物などの土地の工作物の設置、保存の瑕疵によって、誰かが被害を被った時には、まず第一次的にその工作物である建物の占有者が責任を負う。
占有者が相当な注意を払っていたときは、第二次的に所有者が責任を負う。
この所有者の責任は自分に過失がなくても負わなければならない無過失責任である。


注文者責任
注文者が請負人と請負契約を結んだ場合、その請負人が誰かに損害を与えた(不法行為)としても、原則として注文者は責任を負わない。
ただし、その注文や指示について注文者に過失があるときは、不法行為責任を負う。


事務管理
法律上の義務なしに、他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従って、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない。
この場合、管理者が、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
ただし、本人の意思に反して、事務管理を行ったときは、現に利益を受けている限度内でしか、その償還請求は認められない。


問題に挑戦!
不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、マルかバツか。
1.不法行為による損害賠償の支払債務は、催告を待たず、損害発生と同時に遅滞に陥るので、その時以降完済に至るまでの遅延損害金を支払わなければならない。
2.不法行為によって名誉を毀損された者の慰謝料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなかった場合でも、相続の対象となる。
3.加害者数人が、共同不法行為として民法第719条により各自連帯して損害賠償の責任を負う場合、その1人に対する履行の請求は、他の加害者に対してはその効力を有しない。
4.不法行為による損害賠償の請求権の消滅時効の期間は、権利を行使することができることとなった時から10年である。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 不法行為」を御覧ください。



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ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。