今回も、借地借家法の借地について学習します。
対抗要件や譲渡、転貸借、定期借地権について解説します。
民法の賃貸借と借地借家法、どう違うのかを意識しながら学習してくださいね。
インプットしたら必ず、過去問などでアウトプットしましょう。
ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
借地権の対抗力
借地上に借地権者が自己を所有者として登記した建物を所有していれば、借地権の登記がなくても第三者に対抗できる。
※民法の場合は賃借人が第三者に対して、賃借権を対抗するには登記必要。
建物登記は表示に関する登記でよい。
建物が滅失した場合
建物が滅失してしまったら、一定の内容をその土地の見やすい場所に掲示すれば、滅失日から2年を経過するまでは、借地権の対抗力を維持できる。
ただし、滅失した日から2年以内に建物を再築し、その建物の登記をしなければ、対抗力は遡及的に消滅する。
借地権の譲渡、転貸借
土地賃借権の場合は借地権設定者の承諾が必要となる。→借地上の建物譲渡
借地権設定者の承諾がない場合
借地権者が賃借権の目的である土地上の建物譲渡に伴って、土地の賃借権の譲渡・転貸をしようとする場合で、特に不利益がないにもかかわらず借地権設定者が承諾しないときは、借地権者は借地権設定者の承諾に代えて裁判所の許可を得ればよい。
建物を競売で取得した場合
建物の競売や公売における土地賃借権の譲渡の場合は、特に不利益がないにもかかわらず、借地権設定者が承諾しないときは、競売や公売によって取得した者が、借地権設定者の承諾に代わる許可を裁判所に申し立てることができる。
なお、借地権設定者の承諾も裁判所の許可も得られないときは、競落人等は借地権設定者に対して当該建物を時価により買い取るべきことを請求できる。(建物買取請求権)
借地条件変更及び増改築の許可
建物の種類、構造、規模などを制限する借地条件がある場合で、事情の変更によって従来の借地条件と異なる建物を所有するのが適当であるにもかかわらず、その変更について当事者間に協議が調わないときは、裁判所は当事者の申し立てにより、その借地条件を変更することができる。
増改築禁止の特約がある場合は、裁判所は借地権者の申し立てにより、その増改築について地主の承諾に代わる許可を与えることができる。
定期借地権と普通借地権
定期借地権
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付き借地権 | |
契約の存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
更新 | なし | なし | なし |
土地の利用目的 | 制限なし | 事業用建物のみ | 制限なし |
契約方法 | 公正証書等書面による | 公正証書による設定契約 | 制限なし |
建物買取請求権 | なし | なし | 建物の譲渡特約がある |
契約期間終了時 | 原則として更地で返す | 原則として更地で返す | 建物付きで返す |
特約 | ①契約の更新なし ②建物買取請求権なし | ①契約の更新なし ②建物買取請求権なし | ①契約の更新なし ②借地上の建物を、相当の対価で譲渡する |
※公正証書「等」とは、書面または電磁的記録または公正証書。
普通借地権
普通借地権 | |
契約の存続期間 | 30年以上 |
更新 | 最初の更新は20年以上 2回目以降は10年以上 |
土地の利用目的 | 制限なし |
契約方法 | 制限なし |
建物買取請求権 | あり |
契約期間終了時 | 原則として更地で返す |
特約 | 期間や更新などに関する借地借家法の定めよりも不利な特約は無効 |
問題に挑戦!
AがBの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、マルかバツか。
1.Bがその土地をCに譲渡する場合、賃貸人の義務の移転を伴うから、Bは、その譲渡についてAの承諾を必要とする。
2.Aがその建物をDに譲渡する場合、特別の事情のない限り、Aは、Dに対する敷地の賃借権譲渡についてBの承諾を得る必要がある。
3.EがBからその土地の譲渡を受けた場合、Eは、登記を移転していなくても賃貸人たる地位の取得をAに対抗することができる。
4.FがAからその建物を賃借する場合、特別の事情がない限り、Fは、その賃借についてBの承諾を得なければならない。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 借地借家法2 借地」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。