今回は、遺留分・配偶者居住権・贈与について学習します。
計算問題もありますので、頭が混乱するかもしれません。
公式はしっかり覚えておきましょう。
また、配偶者居住権と配偶者短期居住権は比較して覚えるといいですよ。
相続単元は、宅建試験でよく出題されるところですので、ポイントをおさえてまんべんなく学習しておきましょう。
インプットをしたら、必ずアウトプットしてくださいね。
前回の相続・遺言とともに相続単元として出題されます。
遺留分とは
遺言によって被相続人の全財産を特定の人に遺贈するとなった時、残された相続人に、最低限保証された取り分。
遺留分計算
法定相続分×2分の1。
例)愛人に4,000万円遺贈する遺言があった場合、妻は1/2(遺留分)×1/2(法定相続分)=1/4
4分の1である1,000万円を請求できる。※妻と子の場合。
相続人が直系尊属のみの場合は、法定相続分×3分の1。
◎兄弟姉妹には遺留分はない。
相続の放棄・欠格・廃除で相続権がない者は、遺留分権も失う。
遺留分侵害額請求の期間
①相続の開始および遺留分の侵害を知った日から1年。
②相続の開始を知らなかったときは、相続開始から10年。
遺留分の放棄
遺留分は相続開始前に放棄することができる。
ただし、家庭裁判所の許可が必要。(相続開始後は自由)
遺留分を放棄したものは、遺留分侵害額請求をすることはできない。(相続人にはなれる)
遺産分割
共同相続人は5年以内の期間を定めて、遺産の全部または一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。(更新可能)
ただし、その期間の終期は相続開始の時から10年を超えることができない。
共同相続人は、いつでも協議によって遺産の全部または一部の分割ができる。この協議には全員の合意が必要だが、調わない場合は家庭裁判所に対して分割請求できる。
遺産の分割は、相続開始時にさかのぼって効力を生じる。
相続開始時から10年経過すると、法定相続分によって遺産分割がされる。
配偶者居住権
被相続人の配偶者が、相続開始時に遺産に属する建物に住んでいた場合、その居住権を無償で使用・収益できる権利。(所有権ではない・相続していなくてもよい)
被相続人の配偶者のみが取得できる。
居住建物のみ対象。
相続開始時に居住していなければならない。(配偶者以外の者と共有していた場合は× 例:被相続人と子の共有名義)
①遺産分割②遺贈により配偶者居住権を取得できる。
居住建物の全部について、無償で使用・収益できる。
原則として配偶者が生きている間、権利が存続する(終身または一定期間)。ただし、別段の定めもできる。
登記できる。(登記義務者は所有者)
配偶者短期居住権
被相続人の配偶者が相続開始時に、遺産に属する建物に無償で住んでいた場合、一定の期間、その居住権を無償で使用できる権利。
被相続人の配偶者のみが取得できる。
居住建物のみ対象。
相続開始時に無償で居住していなければならない。
居住建物の一部または全部についても、無償で使用できる(収益できない)
①配偶者を含む共同相続人で遺産分割を行う場合、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、または相続開始日から6か月を経過する日のいずれか遅い日までが存続期間。
②①以外の場合、居住建物取得者の配偶者短期居住権の消滅の申入れ日から6か月を経過する日までが存続期間。(申入れを行わなかったらずっと配偶者短期居住権は存在する)
登記できない。
贈与契約
無償の契約で、成立に書面が不要の諾成契約。
書面によらない、口約束などでした贈与は、履行の終わった部分を除いて、各当事者が解除できる。
不動産贈与の場合、書面作成していない場合、所有権移転登記がされれば、引渡しがなくても、履行が完了したものとみなされる。
無償のため、贈与者は原則として、目的物が特定されたときの状態で引き渡せば、受贈者から契約不適合責任を問われない。
ただし、受贈者も一定の負担を負うという負担付贈与の場合は、贈与者はその負担の限度で売主と同様の担保責任を負う。
問題に挑戦!其の壱
相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、マルかバツか。
1.被相続人の生前においては、相続人は、家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分を放棄することができる。
2.家庭裁判所への相続放棄の申述は、被相続人の生前には行うことができない。
3.相続人が遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けると、当該相続人は、被相続人の遺産を相続する権利を失う。
4.相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。
問題に挑戦!其の弐
Aは、生活の面倒をみてくれている甥のBに、自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、マルかバツか。
1.AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によってなされた場合、Aはその履行前であれば贈与を解除することができる。
2.AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的な効力を生じない。
3.Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、甲建物が種類、または品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、Aはその負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
4.Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、Bがその負担をその本旨に従って履行しないときでも、Aはその贈与契約を解除することはできない。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 遺留分・配偶者居住権・贈与」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。