今回は、相隣関係と共有について学習します。
2つの単元をまとめて解説しますが、ここは毎回同じような問題が試験に出るところですので、動画で解説した知識と過去問演習をすることで十分対応できると思います。
もし、見たことがない問題が出たら、たぶん、他の人も解けません。
範囲も狭いですし、難しい内容ではないので、すきま時間を上手に利用して、何度も動画をみて、サクッと覚えましょう。

インプットをしたら過去問でアウトプットしましょう。
相隣関係とは
隣地同士(お隣さん)の関係。
相隣関係上の権利は、法律上当然に認められる権利。
隣地使用請求権
隣地との境界やその付近で、塀などを築造したり、修繕したりする場合は、必要な範囲内で隣地使用を請求することができる。
ただし、隣人の承諾がない限り、立ち入ることはできない。


損害を与えた場合は償金を支払わなければならない。
隣地通行権
他の土地に囲まれて公道に通じない土地→袋地。
袋地の所有者は公道に至るために、その土地を囲んでいる他の土地を通行する権利が認められている。
ただし、通行の場所および方法は、必要かつ隣地への損害が最も少なくなるようにする。


損害を与えた場合は償金を支払わなければならない。
袋地が共有地の分割や、一部譲渡によって生じたときは、通行できるのは他の分割された土地や残余地だけだが、それらの土地に損害を与えても、償金を支払う必要はない。


過去問題で出題された相隣関係
建物は境界線から50㎝以上隔てて建てなければならない。
境界線から1m未満の距離に、窓や縁側、ベランダなどを設けるときは、目隠しを設ける。
境界線を越える竹木の枝は、切除を求めることができるが、根は自分で切り取れる。
隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはいけない。
境界には境界標や囲障を設置することができる。費用は双方で分担する。
境界標設置のための測量費用は、面積に応じて負担する。


共有
何人かで共に一つものを共有する(所有する)。


共有持分
各共有者は自己の持分に基づいて共有物の占有権限を持つ。
共有者間の協議に基づかないで占有使用している者や、共有者の一人から共有物の占有使用を承認された共有者以外の者に対しても、他の共有者はその明渡しを当然には請求することはできない。


各共有者は自己の持分を、自由に処分することができる(同意不要)。
持分を放棄したとき、または、共有者の一人が死亡し、相続人や特別縁故者がいない場合は、その者の持分は他の共有者に帰属する。


共有物の使用
共有者は共有物の全体を持分に応じて使用できる。
→Aが600万、Bが300万、Cが300万、出しあって購入した別荘を、Aが6か月、B,Cが3か月使用できるなどと決めること(決め方は自由)。
共有物の管理・処分


共有物の管理費
各自の持分に応じて負担する。
1年以内に共有者がこの義務を果たさない場合は、他の共有者は相当な償金を払って、その共有者の持分を取得することができる。


共有物の分割
各共有者はいつでも共有物の分割を請求できる。
分割の協議がまとまらない場合は、裁判所に分割請求できる。
分割方法には、現物分割(共有物をそのまま分割)、代金分割(共有物を売却して代金を分ける)、価格賠償(共有者の一人が共有物を取得し、他の共有者に金銭を支払う)がある。
共有者全員の意思によって、5年間を限度として共有物を分割しない特約を結ぶこともできる。
この特約を更新することもできるが、更新後も5年が限度となる。


問題に挑戦!(相隣関係)
Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、マルかバツか。
1.甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。
2.Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。
3.Aが、甲土地を囲んでいる土地の一部である乙土地を公道に出るための通路にする目的で賃借した後、甲土地をBに売却した場合には、乙土地の賃借権は甲土地の所有権に従たるものとして甲土地の所有権とともにBに移転する。
4.Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。
問題に挑戦!(共有)
A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、マルかバツか。
1.Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。
2.Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。
3.この建物をEが不法占有している場合には、B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが、Aなら明渡しを求めることができる。
4.裁判による共有物の分割では、Aに建物を取得させ、AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 相隣関係・共有」を御覧ください。



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ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。