今回は、借地借家法の借家について学習します。
建物を借りるのは賃貸借でも学習しましたが、借地借家法では賃借人をより守るルールとなっています。
イメージとして、民法の賃貸借は対等な関係でのルール、借地借家法では立場の弱い賃借人を守るためのルールです。
これは、前回、学習した借地についても同様です。
民法の賃貸借、借地借家法の借地と借家。
似ているようで全然違う内容もで出てきますので、しっかり整理して覚えていきましょう。
ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
借地借家法の借家について
家主と借家契約を結んだ賃借人を借家人という。
借家人が持っている権利を借家権という。
明らかな一時使用目的の場合、一定の定めは適用されない。(借地と違う)
使用貸借の場合も適用されない。
借家人に不利な特約は無効となる。
建物賃貸借の対抗要件は、賃借権の登記または物件の引渡し。
借家契約の存続期間
借家契約の存続期間には最長期間の制限がない(民法の賃貸借では最長50年)。
1年未満の期間を定めた場合は、定期借家を除いて、期間の定めのない契約となる。
契約の更新と解約
期間の定めがある場合
期間満了の1年前から6か月前までの間に、更新拒絶の通知等がないと、従前の契約と同一の条件で更新される。 ※ただし、契約期間については期間の定めのない契約となる。 |
賃貸人からの更新拒絶には正当事由が必要。 |
賃貸人が更新拒絶の通知をし、期間を満了した後に賃借人がその建物の使用を継続しているときは賃貸人が遅滞なく異議を述べないと、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。 ※契約期間については期間の定めのない契約となる |
正当事由
・建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情。
・建物の賃貸借に関する従前の経過。
・建物の利用状況及び建物の現況。
・建物の賃貸人が提供する財産上の給付の申出。
※賃貸借契約が期間の定めのある賃貸借契約であった場合、解約をする権利を留保する旨の特約があれば、当該特約に従って解約申入れは有効になる。
期間の定めがない場合
解約の申入れをすると契約が終了。(双方がいつでも解約できる) |
賃借人からの解約は正当事由は不要で、解約の申入れ日から3か月経過後に賃貸借が終了する。 |
賃貸人からの解約は正当事由は必要で、解約の申入れ日から6か月経過後に賃貸借が終了する。 |
正当事由
・建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情。
・建物の賃貸借に関する従前の経過。
・建物の利用状況及び建物の現況。
・建物の賃貸人が提供する財産上の給付の申出。
家賃の増減額請求権
借家(借地)に関して家賃(地代)が税金などの負担の増減や、建物の価格の上下、その他経済事情の変動などから考えて不相応になった場合、当事者は将来に向かって、家賃(地代)などの増額および減額を請求することができる。
増額について協議が調わないとき
①賃借人Bは増額の裁判が確定するまで、自己が相当と認める家賃を支払えばいい。
②増額の裁判が確定した場合は、支払い済みの金額に不足があれば不足額に年1割の支払い期後利息を付して支払う。
減額について協議が調わないとき
①賃貸人Aは減額の裁判が確定するまで、自己が相当と認める家賃を請求できる。
②減額の裁判が確定した場合は、受領済みの金額に超過があれば超過額に年1割の受領時からの利息を付して返還する。
家賃増減額の特約
契約に一定期間増額しない旨の特約がある場合は、その期間は増額の請求をすることができない。
一定期間減額しない旨の特約は無効→減額請求できる。
造作買取請求権
建物の賃貸人の同意を得て取り付けた造作(エアコン等)がある場合、賃借人及び転借人は期間の満了または解約申入れによって終了する時に、賃貸人に対して造作を時価で買い取ることを請求できる。
借家人の債務不履行による契約の解除の場合は、造作買取請求は認められない。
造作買取請求権を認めない旨の特約は有効。
定期建物賃貸借でも認めない旨の特約は有効。
賃貸借の承継
居住用の建物について、借家人が相続人なしに死亡した場合、事実婚や養親子などの関係にあった同居者は、引き続き賃貸借することができる→相続人がいたら、相続人が賃借権を相続する。
この賃貸借の承継を認めない旨の特約は有効。
内縁の妻などが賃貸借を終了させるには、相続人なしに借家人が死亡したことを知った時から1か月以内に貸主に反対の意思表示をすれば承継しない。
問題に挑戦!
AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、マルかバツか。
1.AがBに対し、賃貸借契約の期間満了の6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、AとBは、期間3年、賃料月額10万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる。
2.賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に、AがBに書面で解約の申入れをした場合は、申入れの日から3か月後に賃貸借契約は終了する。
3.Cが、AB間の賃貸借契約締結前に、Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合、AがBに甲建物を引き渡しても、Cは、甲建物の賃借権をBに対抗することができる。
4.AB間の賃貸借契約がBの賃料不払を理由として解除された場合、BはAに対して、Aの同意を得てBが建物に付加した造作の買取りを請求することはできない。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 借地借家法3 借家」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。