今回も、賃貸借について学習しましょう。
賃借権の対抗要件、賃貸人の地位の移転、譲渡や転貸借、敷金返還について解説します。
基本的なことは前回、解説していますので、まだご覧になっていない方はそちらから見た方が分かりやすいですよ。
賃貸の実務でも必要な知識なので、しっかり学習しましょう。

ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
賃借権の対抗要件
賃借人は賃借権の登記が、不動産の賃借権の対抗要件となる。
賃借人には登記請求権が認められない。


賃貸人の地位の移転
賃借人が対抗要件を備えている場合は、賃貸不動産の所有権が移転されれば、原則として賃貸人の地位も移転する。
賃借人が対抗要件を備えていない場合は、譲渡人と譲受人との合意があれば、賃借人の承諾なしに、移転させることができる。
ただし、賃料請求など賃貸人の地位を賃借人に主張するには、新所有者は所有権移転登記を備える必要がある。


賃借権の譲渡・賃借物の転貸
賃借人が賃借権を他の人に譲り渡すことを賃借権の譲渡という。
賃借人が借りているものを他の人にまた貸しすることを賃借物の転貸という。


賃借権の譲渡、転貸の効果
譲渡
賃借人が賃借権を譲渡した場合には、譲受人が新賃借人となり、賃貸人と旧賃借人の関係は終了する。


転貸
賃借人が賃借物を転貸しても、賃貸人と賃借人の関係は終了しない。
賃貸人は賃借人に対して、賃料の請求をする。
※賃借人が賃料を支払わない場合には、賃貸人は転借人に対して、直接賃料を請求できる。


無断譲渡、転貸の禁止
賃借人が賃借権の譲渡や転貸をするときは、賃貸人の承諾が必要。
無断で譲渡、転貸をした場合は、原則として賃貸人は契約を解除することができる。
※ただし、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は、賃貸人は契約を解除することはできない。
契約解除


Bの債務不履行によるAB間の契約解除した場合 Cは転借権をAに対抗できない。AはCを追い出せる。 |
AがBの賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除する場合、AはBに対して催告すればよい。 Cに通知をする必要も、代わって賃料を支払う機会を与える必要もない。 |
AとBの間で賃貸借契約を合意解除した場合 AはCを追い出せない。 ※解除当時、AがBの債務不履行による解除権を有していればCに対抗できる。つまり、追い出せる。 |
敷金返還
敷金とは賃借人から賃貸人に交付される金銭。
将来、賃料等未払いがあった時などのために、賃貸人にとって担保の役割をもつ。
敷金の返還は賃貸借契約が終了し、賃貸物を明け渡した後、または賃借人が適法に賃借権を譲り渡したときに行う。
※賃借人が敷金を返してもらうには、先に明け渡す。明け渡しと敷金の返還は同時履行の関係ではない。
未払い賃料などを控除した残額について、賃借人の敷金返還請求権が発生する。
賃貸人が同意しない限り、賃借人は延滞賃料などを敷金から控除するよう請求することはできない。


賃貸人・賃借人の変更
所有権の譲渡があり賃貸人が変わった場合、敷金返還債務は原則として新賃貸人に承継される。
賃借権の譲渡があり賃借人が変わった場合、敷金返還債務は原則として新賃借人に承継されない。


問題に挑戦!
Aは、A所有の建物を、Bから敷金を受領して、Bに賃貸したが、Bは賃料の支払を遅滞している。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述はマルかバツか。なお、Bの未払賃料の額は、敷金の額の範囲内である。
1.Bは、Aに対し、未払賃料について敷金からの充当を主張することができる。
2.Bの債権者Cが敷金返還請求権を差し押さえたときは、Aは、その範囲で、Bの未払賃料の弁済を敷金から受けることができなくなる。
3.AがDに建物を譲渡し、Dが賃貸人となった場合、Aに差し入れていた敷金は、Bの未払賃料を控除した残額について、権利義務関係がDに承継される。
4.Bが未払賃料を支払って、Aの承諾を得て賃借権をEに譲渡した場合、BがEに敷金返還請求権を譲渡する等しなくても、敷金に関する権利義務関係は、Eに承継される。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 賃貸借②」を御覧ください。



YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。