今回は無権代理と表見代理を学習しましょう。
無権代理と表見代理の一番の違いは、本人を守っていくのか、相手方を守っていくのかの違いです。
具体例を出しながら解説していきますので、安心してくださいね。
図を書く練習もすると、問題が解きやすいですよ。

ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
無権代理とは
代理権がないのに代理人として行った行為。
行為した者は無権代理人という。
無権代理の効果は原則、本人に帰属しない。
本人が追認したら、行為をしたときにさかのぼって有効。


無権代理の相手方の保護
催告権
無権代理人と契約した相手方は、本人に対して「追認するか否か確答してほしい」と催告できる。
確答がない場合は、追認を拒絶したとみなす。
催告権は相手方が悪意でも権利がある。


取消権
相手方が善意であれば、本人が追認しない間は契約を取り消すことができる
※本人が追認した後は、契約の取り消しはできない。
相手方が悪意の場合はできない。


無権代理人に対する責任追及権
①②の場合、相手方は無権代理人に対して、契約の履行請求または損害賠償請求をすることができる。
①相手方が善意無過失の場合②相手方が善意有過失だが、無権代理人が悪意の場合。
無権代理ではないことを証明したとき、または本人の追認を得たときは、責任を免れる。
無権代理人が制限行為能力者であるときは、責任を追及することができない。


表見代理
表見代理とは、相手方が善意無過失であり、無権代理行為であっても、代理権があるようにみえた場合(本人に落ち度あり)、代理行為を有効とする制度。


①代理権授与の表示による表見代理
本人が、代理権を与えるつもりがないのに、さも代理権を与えたかのように表示した場合。
例:委任状をもたせた


②権限外の行為の表見代理
代理人が与えられた代理権の範囲を飛び越えて、ほかの代理行為を行った場合。
例:賃貸借契約のみの代理権だったのに売却した


③代理権消滅後の表見代理
かつて、本人が代理権を与えていたが、代理権が消滅したのに代理行為を行った場合。
例:委任状を回収していなかった


無権代理と相続
本人の死亡
本人が死亡し、無権代理人が本人を単独で相続した場合は、無権代理行為を追認拒絶はできない。


無権代理人の死亡
無権代理人が死亡し、本人が無権代理人を単独で相続した場合、無権代理行為は追認拒絶できる。
※ただし、無権代理人の責任も相続しているので、相手方が善意無過失であれば責任を追及できる。


問題に挑戦!
A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、マルかバツか。なお、表見代理は成立しないものとする。
1.Bの無権代理行為をAが追認した場合には、AC間の売買契約は有効となる。
2.Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。
3.Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。
4.Aの死亡により、BがDとともにAを相続した場合、DがBの無権代理行為を追認しない限り、Bの相続分に相当する部分においても、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。
答えの詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 代理2」を御覧ください。



YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。