今回は取得時効について学習します。
民法でよく出る、地上権、賃借権、地役権についても図解してます。
占有・承継・相続・第三者売買等、シチュエーションを覚えておきましょう。
図と一緒にパターンを覚えると理解も早まりますよ。
インプットしたら、過去問題を解きまくりましょう。

ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
時効とは
一定の事実状態の継続によって、権利を取得したり、権利が消滅すること。
取得時効
占有(持っている、支配している)という事実状態が続き、その効果として権利を取得する。


消滅時効
権利を行使しない状態が続くと、その効果として権利が消滅する。


時効取得できる権利
所有権、地上権、地役権(通路を開設しているなど継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限る)、賃借権(継続的用益という外形的事実が存在し、賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているとき)なども時効で取得できる。
地上権


賃借権


地役権


所有権の取得時効
所有権を時効取得するには、所有の意思をもって、平穏かつ公然と占有することが必要。
所有の意思の有無は、主観的にではなく、占有取得の原因事実により、外形的、客観的に判断される。


賃借権の取得時効
賃貸借契約で家を借りているなら「他人のもの」として持つ。
つまり、所有の意思は認められない。
その場合は、所有権を時効取得できない。
※賃借権を時効取得できる場合もある


取得時効
取得時効が認められるには、一定の期間、継続した占有が必要。
占有開始時に善意無過失なら10年、悪意または過失があるなら20年。
※途中で気づいて悪意になった場合でも、開始時が善意無過失なら10年。


占有の承継
売買や相続があった場合、占有は承継される。
また、前の占有者の占有もあわせて主張することができ、その時は瑕疵(善意無過失や悪意)も引き継ぐ。
例)AがCの土地を善意無過失で占有を始めたが、5年後Bに売却した。BはCの土地だと知っていた。


途中で賃貸した場合
例)AがCの土地を悪意(自分所有ではないと知っている)で占有を始めたが、2年後Bに賃貸した。Bは18年間賃貸した。


途中で相続した場合
例)AがCの土地を悪意で占有を始めたが、2年後Aは死亡し、Bが相続した。Bは所有の意思をもって18年間占有した。


途中で売却したが、そのまま占有した場合
例)AがCの土地を悪意で17年間占有した時点でBに売却したが、そのままAが占有し続けた。


問題に挑戦!
AがBの所有地を長期間占有している場合の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、○か☓か。
1.Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない。
2.Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得することができる。
3.Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、BがDにその土地を売却し、所有権移転登記を完了してもAは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得し、Dに対抗することができる。
4.Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない。
詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 時効①」を御覧ください。



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ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。