今回は、物権変動について学習しましょう。
ここは起こっている出来事の前後を、しっかり理解して問題を解きましょう。
簡単で良いので、図を描くことをおすすめしますよ。
また、今まで学習してきた、「意思表示」「解除」「時効」の単元も深く関わっていますので、これを機に復習しておきましょう。

復習した方が良い単元をコツコツ学習しておけば、あとが楽ですよ。
物権変動とは
物権変動は原則として契約などの意思表示をすることによって効力を生じる。
不動産のような特定のものを目的とする売買契約では、特約がない限り、直ちに買主への所有権移転の効力が生じる。


第三者と登記
不動産に関する物件の変動(所有権の移転、抵当権の設定など)は、登記がなければ、原則として第三者に対抗できない。


当事者と第三者の登記
当事者間では登記がなくても物権変動を対抗できる。
第三者は善意、悪意を問わない。先に登記を備えたものが勝ち。


第三者に該当しない人
例外 ①~⑤に対しては、登記がなくても所有権を対抗できる。(第三者に該当しない)
①背信的悪意者。
→背信的悪意者から転得した者は、その者自身が背信的悪意者かどうかで判断される。
②他人のために登記の申請をする義務がある者。
③詐欺、強迫によって登記を妨げた者。
④無権利者。
⑤不法行為者・不法占有者。


取得時効と登記
時効完成前
時効取得者は時効完成前に所有権を取得した第三者に対して、時効完成時に登記がなくても所有権を主張できる。
例)BはAの家を長年占有している。
時効完成前にAがCに家を売却し、登記移転を行った。
その後、Bの取得時効が完成した


時効完成後
時効完成後に所有権を取得した第三者と時効取得者は、対抗関係にあるので、先に登記をした方が所有権を主張できる。
例)BはAの家を長年占有している。
Bの取得時効完成後に、AがCに家を売却した


解除と登記
解除前の第三者
例)AはBに家を売却。
その後、BはCに売却し、Cは登記をした。
AはBの債務不履行を理由に契約を解除した


解除後の第三者
例)AはBに家を売却。
Bは登記をした。
AはBの債務不履行を理由に契約を解除した後、BはAに登記を戻す前にCに売却した。


取消しと登記
【錯誤・詐欺 取消しと登記】取消し前の第三者
例)AはBの詐欺により家を売却。
その後、BはCに売却し、Cは登記をした。
AはBの詐欺を理由に契約を取消した。




【強迫 取消しと登記】取消し前の第三者
例)Bの強迫により、Aは家を売却。
その後、BはCに売却し、Cは登記をした。
AはBの強迫を理由に、AB間の契約を取消した。


取消し後の第三者(詐欺・錯誤・強迫)
例)AはBに家を売却。
Bは登記をした。
Aは詐欺・錯誤・強迫を理由に契約を取消した後、BはAに登記を戻す前にCに売却した。


問題に挑戦!
所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、マルかバツか。
1.CはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、甲土地の真の所有者はAであって、Bが各種の書類を偽造して自らに登記を移していた場合、Aは所有者であることをCに対して主張できる。
2.DはBとの間で売買契約を締結したが、AB間の所有権移転登記はAとBが通じてした仮装の売買契約に基づくものであった場合、DがAB間の売買契約が仮装であることを知らず、知らないことに無過失であっても、Dが所有権移転登記を備えていなければ、Aは所有者であることをDに対して主張できる。
3.EはBとの間で売買契約を締結したが、BE間の売買契約締結の前にAがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除していた場合、Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できる。
4.FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたとき、又は知ることができたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 物権変動」を御覧ください。



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ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。