営業保証金を供託する宅建業者の業務開始までの流れ、金銭や有価証券での供託について、保管替えと二重供託について学習します。
保証協会の単元とあわせて、過去12年の試験で毎年、出題されている単元です。
出題傾向としては、営業保証金と保証協会をまぜてひっかけ問題で出題されます。
また、数字も多いので、しっかり把握しておきましょう。

営業保証金の単元は2回に分けて投稿します。
営業保証金制度とは
宅地や建物の取引は金額が大きく、何かトラブルが起こると損失も大きくなるので、その損失を保証する仕組み。
宅建業者が営業保証金を供託し、届出をする。届出をしなければ事業ができない。
宅建業者はお客さん(宅建業者除く)に対し、契約が成立するまでに、営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所やその所在地について説明しなければならならない。ただし。供託金の額は不要。
業務開始までの流れ
宅建業者は免許を取得し、業務を開始するまでに、営業保証金を主たる事務所(本店)の最寄りの供託所に供託しなければならない。
宅建業者は供託した旨を免許権者に届出した後でなければ、業務を開始することはできない。


免許権者は、免許を与えた後、3ヶ月経っても供託した旨の届出がない場合、届出をするよう催告する。
催告が到達してから1ヶ月経っても業者が届出をしない場合は、免許権者は免許を取り消すことができる。(任意)
事務所増設した場合の業務開始までの流れ
宅建業者は増設事務所で業務を開始するまでに、営業保証金を主たる事務所(本店)の最寄りの供託所に供託しなければならない。
宅建業者は供託した旨を免許権者に届出した後でなければ、業務を開始することはできない。


営業保証金の供託
営業保証金の供託は、宅建業者が供託所に対して行い、その金額は主たる事務所(本店)は1,000万円、従たる事務所(支店)は1ヵ所につき500万円の合計額である。
主たる事務所と従たる事務所分を全額一括納入しなければならない。
従たる事務所分を供託する場合も、主たる事務所の最寄りの供託所に供託する。
現金(金銭)や一定の有価証券で供託することが可能。


満期になった国債を地方債に替えるなど、すでに供託している営業保証金を他のものと差し替えることを営業保証金の変換という。
保管替え
主たる事務所が移転した場合、供託所を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に替える必要がある。
◎金銭のみで供託の場合
①A市からB市に主たる事務所が移転した場合。
②遅滞なく費用を予納して、営業保証金を供託しているA市の供託所に対し、移転後のB市の主たる事務所の最寄りの供託所へ保管替えの請求を行う。
③A市の供託所からB市の主たる事務所の最寄りの供託所へ、供託金が移動する。


二重供託
◎有価証券で供託、または、金銭と有価証券の両方で供託の場合、保管替え請求できない
①A市からB市に主たる事務所が移転した場合、遅滞なく、営業保証金を移転後のB市の主たる事務所の最寄りの供託所に、新たに供託しなければならない。(二重供託になる。)
供託は金銭でも有価証券でも良い。
金銭部分だけ保管替えということはできない。
②移転先の新しい供託所に供託した後、A市の供託所から営業保証金を取り戻す。この場合、公告不要。


問題に挑戦!
宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述は誤っている。どこが誤っているのかを見つけ、理由を述べよ。(ただし、宅地建物取引業法の規定による)
1.A社は、甲県の区域内に新たに支店を設置し宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事にその旨の届出を行うことにより事業を開始することができるが、当該支店を設置してから3月以内に、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出なければならない。
2.A社は、営業保証金を本店及び支店ごとにそれぞれ最寄りの供託所に供託しなければならない。
3.宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の開始後1週間以内に、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、営業保証金を供託した旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
4.宅地建物取引業者は、新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の供託について国債証券と地方債証券を充てる場合、地方債証券の額面金額が800万円であるときは、額面金額が200万円の国債証券が必要となる。
答えは全部バツです。詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 営業保証金①」を御覧ください。



YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。