宅建試験にかなりの頻度で出題される、営業保証金の還付と取戻しについて解説します。
営業保証金と保証協会の単元とあわせて、過去12年の試験で毎年、出題されています。
数字と還付の流れをしっかり押さえておきましょう。
また、取戻しが全部できるのか、一部なのか、公告が必要なのか不要なのかも区別して覚えましょう。

営業保証金の単元は2回に分けて投稿します。
営業保証金の還付を受けることができる者
還付を受けることができるのは、宅建業者と宅建業に関して取引をした者で、その取引により生じた債権を有する者。(宅建業者を除く)
宅地建物の購入や、媒介・代理を依頼したことによって生じた代金の返還請求権や損害賠償請求権→還付を受けられる。
広告をつくった広告代理店の報酬請求権、融資をした銀行の返還請求権や働いていた従業員の給料債権→還付を受けることができない。
営業保証金の還付金額
還付を受けることができる金額は、本店、支店、どこで取引しても、その業者が供託している営業保証金の範囲内。
例)本店と支店2ヵ所の宅建業者の場合、供託額は2,000万円なので、還付を受けることができるのも2,000万円以内となる
還付の流れ
お客さんが供託所から還付を受けた場合、営業保証金が不足するので、不足分を追加供託する必要がある。
宅建業者は免許権者から不足分供託の通知書の送付を受けた日から、2週間以内に供託所に追加供託をしなければならない。
また、追加供託をした日から2週間以内に、供託した旨を免許権者に届出なければならない。
これらを怠ると、業務停止処分または免許取消処分を受ける。


営業保証金の取戻し
供託所から営業保証金を返してもらう。
取戻し金額 | 取戻し事由 | 取戻し公告の要否 |
一部 | 事務所を一部廃止したため、供託している金額が政令で定める金額より多くなった | 原則 6か月以上の期間を定めて公告をしなければならない →その後、遅滞なく、公告した旨を免許権者に届出 |
全部 | 免許の有効期限が満了した | 同上 |
全部 | 廃業・破産等の届出により免許が失効した | 同上 |
全部 | 免許取消処分を受けた | 同上 |
取戻し金額 | 取戻し事由 | 取戻し公告の要否 |
全部 | 有価証券を含んだ営業保証金を供託している場合で、主たる事務所移転のため、移転先の供託所に営業保証金を供託しなおした(二重供託) | 例外 公告不要 |
全部 | 保証協会の社員となり、営業保証金の供託不要となった | 同上 |
全部 | 取戻し事由が発生したときから10年が経過した(債権の消滅時効) | 同上 |
問題に挑戦!
宅地建物取引業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、マルかバツか。
1.宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。
2.信託業法第3条の免許を受けた信託会社で宅地建物取引業を営むものは、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされるため、営業保証金を供託した旨の届出を国土交通大臣に行わない場合は、国土交通大臣から免許を取り消されることがある。
3.宅地建物取引業者は、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管換えを請求しなければならない。
4.宅地建物取引業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けたときは、供託額に不足を生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。
答えの詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 営業保証金2」を御覧ください。



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