誇大広告やおとり広告の禁止、取引態様の明示、未完成物件の場合の広告の時期と契約の時期について学習します。
これまでは宅建業者になるためのお話とか、業務を始める前のお話でした。
ここからは、宅建業者になった後の業務に関するお話しです。
宅建試験を受験する方はもちろん、すでに不動産関係のお仕事をされている方もしっかり理解しておきましょう。

他の単元と絡んで出題されることが多いです。
誇大広告の禁止
新聞、雑誌、立看板、放送、インターネットなど媒体問わず、すべての広告が規制対象となる。
誇大広告の程度
1.著しく事実に相違する表示。(事実をあえて表示しないことで、消極的に誤認させる場合も該当する)
2.実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させるような表示。
3.実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示。
実際にその広告を見たお客さんが、これを信じて契約を結び、実害が生じたかどうかは関係ない。
被害が出なくても宅建業法違反となる。
おとり広告の禁止
1.世の中に存在しない物件。
2.存在はするが売ることができない物件。
3.売る意思が ない物件などを広告して、お客さんを集めて、他の商品を紹介するようなこと。
誇大広告、おとり広告をすると、業法違反となり監督処分や罰則を受ける。
罰則は6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科。
誇大広告の規制の対象
規制対象となる内容は大きく3つに分類できる
1.物件に関すること。
2.周辺環境等に関すること。
3.お金に関すること。
①物件 | 所在 | 物件の所在地 |
規模 | 物件の面積、間取り等 | |
形質 | 地目、構造、新築中古の別、ガス、水道、電気等の 供給施設の整備状況 | |
②周辺環境 | 現在または将来における利用の制限 | 借地権の有無等の私法上の制限 | 用途制限、容積率等の公法上の制限
現在または将来における環境 | 商店、学校、病院等、公共施設の整備状況、景観等 | |
現在または将来における交通その他の利便 | 所要時間等 | 主要駅までの所要時間、最寄り駅や停車場までの距離|
③お金 | 代金・借賃等の対価の額、支払い方法 | 時期、支払い金額、一括か分割か、融資付きか等 |
代金・交換差金における金銭の貸借のあっせん | 融資に関する金利、返済期間などの条件 |
取引態様の明示義務
宅建業者は行う広告などに取引態様を明示しなければならない。
取引の態様のすべてについて明示する。(自ら貸借は含まれない。)
売買 | 交換 | 貸借 | |
自ら当事者 | 〇 | 〇 | ✕ |
代理 | 〇 | 〇 | 〇 |
媒介 | 〇 | 〇 | 〇 |
取引態様の明示は、お客さんが取引にかかわるときにする。
1.広告をするときはそのたびごと
2.注文を受けたときは、遅滞なく明示。すでに広告に明示してあってもお客さんが注文してくれる時には改めて明示しなければならない。
3.数回に分けての分譲広告をする場合、それぞれの広告においてきちんと明示する。
取引態様の明示は口頭でもOK。
明示を怠ると監督処分の対象になるが罰則はない。(誇大広告は罰則あり)
未完成物件の広告
未完成物件については、一定の許可や建築確認等の処分があった後でなければ、広告を開始できない。
同様に原則として、契約(予約も含む)を結んではいけない。
※処分とは都市計画法の開発許可、市街化調整区域内の建築許可、地区計画の一定の区域内の農地の区域内における建築等の許可、建築基準法の建築確認・居住環境向上用途誘導地区内における建築物の高さ制限に関する許可、「津波防災地域づくりに関する法律」の津波災害特別警戒区域における開発許可など。
未完成物件の広告禁止
1.将来売り出す予定であることを示す予告広告
2.開発許可が下りる見込みで行う見込み広告
3.開発許可申請中、建築確認申請中という広告
の3つが禁止されている。
未完成物件の広告開始時期と契約締結時期
広告開始時期の制限
売買 | 交換 | 貸借 | |
自ら当事者 | 受ける | 受ける | 受けない |
代理 | 受ける | 受ける | 受ける |
媒介 | 受ける | 受ける | 受ける |
契約締結時期の制限
売買 | 交換 | 貸借 | |
自ら当事者 | 受ける | 受ける | 受けない |
代理 | 受ける | 受ける | 受けない |
媒介 | 受ける | 受ける | 受けない |
問題に挑戦!
宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述は、宅地建物取引業法の規定によると誤っている。どこが誤っているのかを見つけ、理由を述べよ。
1.建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を転貸するための広告をする際は、当該広告に自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を明示しなければ、法第34条に規定する取引態様の明示義務に違反する。
2.新築分譲住宅としての販売を予定している建築確認申請中の物件については、建築確認申請中である旨を表示をすれば、広告をすることができる。
3.宅地の売買に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約成立後に継続して広告を掲載していたとしても、最初の広告掲載時点で当該宅地に関する売買契約が成立していなければ、法第32条に規定する誇大広告等の禁止に違反することはない。
4.都市計画法第29条第1項の許可を必要とする宅地について、Bが開発行為を行い貸主として貸借をしようとする場合、宅地建物取引業者Aは、Bがその許可を受ける前であっても、Bの依頼により当該宅地の貸借の広告をすることができるが、当該宅地の貸借の媒介をすることはできない。
答えは全部バツです。詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 広告規制」を御覧ください。



YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。