この単元は、相続財産を誰がどのように分けるのか、そして残された配偶者の生活を法律がどう守るのかという実践的な知識が問われます。
ここで確実に押さえるべき最重要ポイントは2つあります。
1つ目は、相続が開始してから遺産分割が確定するまでの間に発生したアパートの賃料などは、遺産分割の遡及効を受けず、法定相続分で分けたまま確定することです。
2つ目は、「配偶者短期居住権」は登記ができず使用のみであるのに対し、「配偶者居住権」は所有者の承諾があれば第三者に貸して収益(家賃収入)を得ることもでき、登記によって第三者に対抗できることです。特に配偶者居住権は比較的新しい制度であり、試験でも狙われやすいため、短期居住権との違い(登記の可否、収益の可否など)を正確に比較して整理しておきましょう。
あこ課長前回・前々回の相続・遺言等とともに相続単元として出題されます。
遺産分割
相続人が複数人いるときは、相続財産は全員の共有となる。遺産分割とはこれを各相続人に具体的に分配すること。
共同相続人は、いつでも協議によって遺産の全部または一部の分割ができる。(遺言や禁止を除く)この協議には全員の合意が必要だが、調わない場合は家庭裁判所に対して分割請求できる。
被相続人は遺言により、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止できる。
共同相続人は5年以内の期間を定めて、遺産の全部または一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。(更新可能)ただし、その期間の終期は相続開始の時から10年を超えることができない。
相続開始時から10年経過すると、法定相続分によって遺産分割がされる。
10年経過すると、生前贈与を受けた特別受益分、あるいは、療養看護等の特別の寄与をした寄与分などの特別の事情は考慮されなくなる。
遺産の分割は、相続開始時にさかのぼって効力を生じるが、第三者の権利を害することはできない。


遺産分割までの間は、相続開始時にあった金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない。
共同相続された普通預貯金債権、定期預貯金債権はいずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。
遺産分割前でも、当面の生活費や葬儀費用、債務の弁済等に充てるためであれば、家庭裁判所の判断を経なくても、同一金融機関に付き150万円を限度として単独で払い戻しをすることができる。
相続開始から遺産分割までの間に、遺産である不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は遺産とは別個の財産なので、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。


対抗要件
相続による権利の承継は、自己の法定相続分については登記などの対抗要件がなくても第三者に対抗できる。
法定相続分を超える部分(遺言や遺産分割)については、登記などの対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない。


配偶者短期居住権
被相続人の配偶者が相続開始時に、遺産に属する建物に無償で住んでいた場合、一定の期間、その居住権を無償で使用できる権利。(収益はできない)
居住建物のみ対象。登記できない。
相続欠格事由や廃除によって相続権を失った場合、配偶者居住権を取得した時は認められない。
配偶者を含む共同相続人で遺産分割を行う場合、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日または相続開始日から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間、それ以外の場合、配偶者短期居住権の消滅の申入れ日から6か月を経過する日までの間、居住建物取得者に対して無償で使用する権利をもつ。
善良な管理者の注意をもって使用しなければならない。【違反すると消滅】
居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に使用させることができない。
配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物を返還しなければならない。


配偶者居住権
被相続人の配偶者が、相続開始時に遺産に属する建物に住んでいた場合、その建物の全部について無償で使用・収益できる権利を取得する。(所有権ではない・相続していなくてもよい)


所有者は登記を備えさせる義務を負う。登記をしたときは第三者に対抗できる。
遺産分割や遺贈により配偶者居住権を取得できる。
被相続人が相続開始のときに、居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は、配偶者居住権を取得しない 例:被相続人と子の共有名義。
原則として配偶者が生きている間は権利が存続する。(終身)ただし、遺産の分割協議や、遺言で別段の定めもできる。
遺産分割協議などで存続期間を定められた場合、期間満了によって配偶者居住権は消滅する。延長や更新は認めらない。
居住建物が配偶者の財産になったとしても、他の者が共有持分を持っている場合は配偶者居住権は消滅しない。


配偶者居住権は相続や譲渡はできない。
善良な管理者の注意を持って使用しなければならない。【違反すると消滅】
所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築や増築、第三者に使用収益させることができない。
配偶者は居住建物の通常の必要費を負担する。
配偶者は居住建物の使用収益に必要な修繕をすることができる。修繕が必要なのに相当期間配偶者が修繕しない場合は、所有者は修繕をすることができる。
配偶者居住権が消滅したときは、居住建物を返還しなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を持っている場合は、所有者は配偶者居住権の消滅を理由として、返還を求めることができない。


問題に挑戦!
遺産分割に関する次の記述は、民法の規定及び判例によれば、マルかバツか。
1.被相続人は、遺言によって遺産分割を禁止することはできず、共同相続人は、遺産分割協議によって遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2.共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて遺産分割協議を成立させることができる。
3.遺産に属する預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割され、共同相続人は、その持分に応じて、単独で預貯金債権に関する権利を行使することができる。
4.遺産の分割は、共同相続人の遺産分割協議が成立した時から効力を生ずるが、第三者の権利を害することはできない。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 相続3」を御覧ください。



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ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。








