今回は、権利関係の最後の単元、区分所有法について学習します。
前回は、用語の意味を知り、しっかりイメージを持って頂くための解説をしました。
似たような言葉や、数字に頭を抱えた人もいたかもしれません。
分からないところは、何度も復習してモノにしましょう。
今回は、「集会」「規約」、数字のまとめをやります。
「集会」や「規約」は試験でよく出てくるところです。
区分所有法は内容を正確に覚えておくことが大事です。
他の権利関係単元と違い、相関図を描いたり、複雑なことを問われたりすることは少ないです。
絶対、区分所有法で1点取りましょう。
ボリュームがありますので、2回に分けて投稿します。
集会
集会の招集
管理者がいるとき
①管理者は少なくとも毎年1回、集会を招集しなければならない。
②区分所有者の5分の1以上で、議決権5分の1以上を有する者は、管理者に対して会議の目的たる事項を示して集会の招集を請求することができる。
※5分の1という数字は規約で減ずることができる。
管理者がいないとき
区分所有者の5分の1以上で、議決権5分の1以上を有する者は、集会を招集することができる。
※5分の1という数字は規約で減ずることができる。
招集手続き
集会の招集通知は原則として、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。この期日は規約で伸縮できる。
建替え決議が会議の目的である場合は、少なくとも会日の2か月前に招集通知を発しなければならない。この期日は規約で伸ばすことはできるが、縮めることはできない。
区分所有者全員の同意があれば、招集手続きを省略することができる。
集会の招集通知は、区分所有者が管理者に対して招集通知を受ける場所を通知したときはその場所になる。通知がないときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所に宛ててする。
規約に特別の定めがあれば、建物内に住所を有する区分所有者、または招集通知を受ける場所を管理者に対して通知していない区分所有者に対しては、招集通知を建物内の見やすい場所に掲示することができる。
専有部分を数人で共有している場合、招集通知は議決権を行使すべき者へ、定めのないときは共有者の1人に対してする。
決議事項の制限
集会においては、管理者または集会を招集した区分所有者の1人が議長となる。
原則
招集通知によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。
例外
特別決議事項や建替え決議を除いて、規約で別段の定めをすれば、あらかじめ通知した事項以外についても決議することができる。
集会の招集通知で、議案の要領も通知しなければいけないもの。
1.共用部分の重大変更。
2.規約の設定・変更・廃止。
3.建物の大規模滅失の場合の復旧。
4.建替え決議。
集会の決議
原則
一般的事項は区分所有者及び議決権の、各過半数で決定。
例外
重要事項は区分所有者及び議決権の、各4分の3以上で決定。(特別決議)
①規約の設定・変更・廃止 ②管理組合法人の設立・解散 ③共用部分の重大な変更
④義務違反者に対する専有部分の使用禁止等 ⑤大規模滅失の復旧(建物価格の2分の1超)
建物の建替え決議については、区分所有者及び議決権の各5分の4以上で決定。
集会の議事録
集会の議事録は書面または電磁的方法によって作成し、その保管場所を建物の見やすい場所に掲示しなければならない。
議事録が書面の場合には議長及び集会に出席した区分所有者の2人の署名が必要。
議決権
議決権は書面、または代理人によって行使できる。
区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者も、会議の目的である事項に利害関係がある場合は、集会に出席したり、意見を述べることができる。(議決権はない)
書面による決議
区分所有者全員の承諾がある場合には、集会を開催せずに書面、または電磁的方法による決議をすることができる。
区分所有者全員の書面または電磁的方法による合意があった時は、書面または電磁的方法による決議があったものとみなす。
包括承継人と特定承継人
規約および集会の決議は、区分所有者の包括承継人(相続人など)や、特定承継人(中古マンション購入者)に対しても、効力を生じる。
占有者(借主など)も規約や集会の決議に従わなければならない。同一の義務を負う。
規約
規約の設定等
区分所有者が決めたマンションの利用・管理に関するルール。
規約の設定・変更・廃止には、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の集会による決議が必要。
規約の設定・変更・廃止によって、特別の影響を受けるものがいる場合は承諾が必要。
分譲業者など、最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、一定の事柄について規約で決めることができるという特例がある。これを原始規約といい、公正証書による必要がある。
結果的に建物の専有部分の全部を所有することになった者であっても、他の区分所有者から区分所有権を譲り受けたものでは規約を設定できない。
規約の保管等
規約は書面、または電磁的記録によって作成しなければならない。
規約は原則として管理者が保管するが、管理者がいない時は、建物を使用している区分所有者、またはその代理人で、規約または集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
規約を保管する者は、利害関係人の請求があった時は、正当な理由がある場合を除いて規約の閲覧を拒んではいけない。
保管場所は建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
これらのルールは集会の議事録にも当てはまる。
区分所有法 数字のまとめ
5分の4 | 建替え決議 |
4分の3 | ①規約の設定・変更・廃止 ②管理組合法人の設立・解散 ③義務違反者に対する訴訟提起(使用禁止、競売、契約解除、引渡し) ④大規模滅失の復旧決議(建物価格の2分の1超の滅失) ⑤共用部分の重大変更(区分所有者の定数は規約で過半数まで減じることができる) |
過半数 | ①管理者の選任・解任(規約で別段の定めがあればそれに従う) ②小規模滅失の復旧決議 ③共用部分の軽微変更 ④共用部分の管理行為 ⑤義務違反者に対する行為の停止等請求の訴訟提起 |
5分の1 | 集会の招集請求(規約で減ずることができる) |
単独 | ①共用部分の保存行為 ②小規模滅失の復旧(決議があるまで) |
問題に挑戦
建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述は、マルかバツか。
1.専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、集会においてそれぞれ議決権を行使することができる。
2.区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。
3.集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の1人が議長となる。
4.集会の議事は、法又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で決する。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 区分所有法2」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。