今回は、国土利用計画法について学習します。
国土の計画的な利用や取引についての法律です。
事後届出制と事前届出制、許可制があります。
今回は国土利用法の全体像と、事後届出制について解説します。
試験では毎年1問、出題されています。
出題ポイントに絞って学習をすれば、1点取れるところですので、インプット、アウトプットを頑張っていきましょう。
国土利用計画法は2回に分けて投稿します。
国土利用計画法の目的
地価の高騰を抑制し、土地の適正な利用を図るための規制。
土地取引の規制
規制区域 | 監視区域 | 注視区域 | 無指定区域 |
許可制 | 事前届出制 | 事前届出制 | 事後届出制 |
投機的取引により 地価が急激に上昇し または上昇する恐れが ある区域 | 地価が急激に上昇し または上昇する恐れが ある区域 | 地価が一定期間内に 相当な程度を超えて 上昇しまたは上昇する 恐れがある区域 | 左記以外の区域(全国) |
契約の当事者は、契約締結前に都道府県知事の 許可を受けなければ ならない | 契約の当事者は、契約締結前に都道府県知事に 届出をしなければ ならない | 契約の当事者は、契約締結前に都道府県知事に 届出をしなければ ならない | 権利取得者は、 契約締結日から2週間以内に都道府県知事に届出を しなければならない |
なし | 小笠原村のみ | なし | 日本のほぼ全部 |
届出・許可を必要とする土地取引
要件 | 該当する例 | 該当しない例 | ||
権利性 | 土地に関する権利 (所有権、地上権、賃借権等)の移転・設定であること | ①売買、売買予約、交換契約 ②譲渡担保、代物弁済、代物弁済の予約 ③権利金等、一時金の授受のある地上権、賃借権の設定 ④形成権(予約完結権・買戻権等)の譲渡 ⑤土地区画整理事業における保留地の処分 | ①抵当権、質権、地役権、永小作権、使用貸借権の設定 | |
対価性 | 土地に関する権利の移転、設定が、対価を得て行われること | ②贈与 ③権利金等の授受のない地上権、賃借権の設定 ④信託契約 | ⑥相続 ⑦時効 換地処分 土地収用 | |
契約性 | 土地に関する権利の移転、設定が契約(予約を含む)であること | ⑤形成権(予約完結権・買戻権等)の行使 |
事後届出制の手続き
土地売買等の契約を締結し、権利を取得した者は、契約を締結した日から起算して2週間以内に、一定事項を市町村長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
土地を取得、利用する権利取得者が届け出る。
注視区域、監視区域、規制区域を除く全国の区域。
届出対象面積のごろあわせ
要件と面積
一団の土地の届出の場合
隣り合っている土地にまたがってマンションを建てようとしている場合、隣り合う土地は物理的に一体であり、また、両地にまたがるマンションの建築という計画も一体といえる。
物理的、計画的一体性がある場合、契約が時間的にずれていても、一団の土地と考える。
土地を分割して売却する場合
事後届出制;権利取得者の手続き
契約後
土地売買等の契約を締結し、権利を取得した者は、契約を締結した日から起算して2週間以内に、対価の額や土地の利用目的などを、市町村長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
審査
都道府県知事が利用目的について審査する。(対価の額は審査の対象外)
※審査に問題がなければ、そのまま契約通り
勧告
審査に問題があれば、都道府県知事は届出があった日から3週間以内に勧告する。都道府県知事は届出をしたものに対して、利用目的を変更すべきことを勧告することができる。
①従わない場合→都道府県知事は、その旨および勧告内容を公表することができる。(義務ではない)
(罰則はない、契約は有効)
②従った場合→都道府県知事は勧告に従って、当該土地の利用目的が変更された場合、必要があると認めるときは、土地に関する権利の処分についてのあっせん等の措置を講ずるよう努めなければならない。(知事に対して買取請求はできない)
助言
※都道府県知事は届出をしたものに対し、届出に係る土地の利用目的について、必要な助言をすることができる(対価の額は助言の対象ではない)
届出が不要な場合
①取引の当事者の一方、または双方が、国・地方公共団体等である場合
②農地法3条1項の許可を受ける必要がある場合(農地法5条1項の許可を受ける場合は届出必要)
③民事調停法による調停の場合
事後届出を怠った場合等
事後届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合、罰則がある。(6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金)
ただし、契約自体は有効。
問題に挑戦!
国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述はマルかバツか。
1.土地売買等の契約を締結した場合には、当事者双方は、その契約を締結した日から起算して2週間以内に、事後届出を行わなければならない。
2.一団の造成宅地を数期に分けて不特定多数の者に分譲する場合において、それぞれの分譲面積は、事後届出の対象面積に達しないが、その合計面積が事後届出の対象面積に達するときは、事後届出が必要である。
3.事後届出においては、土地に関する権利の移転等の対価の額を届出書に記載しなければならないが、当該対価の額が土地に関する権利の相当な価額に照らし著しく適正を欠くときでも、そのことをもって勧告されることはない。
4.事後届出に係る土地の利用目的について勧告を受けた場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わなかったときは、その旨及びその勧告の内容を公表されるとともに、罰金に処せられることがある。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 国土利用計画法1」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。