今回も引き続き、都市計画法 開発許可について学習します。
2回目は「開発許可の申請の手続きから工事完了後」まで解説します。
1回目の「開発行為」や「許可不要となる開発行為」に比べると、イメージがつかみにくいですが、開発許可が下りる前と、下りた後の話と思ってもらえばOKです。
ポイントをおさえて覚えましょう。
開発許可は範囲が広いので、3回に分けて投稿します。
開発許可申請手続きの流れ
公共施設の管理者の同意等
開発行為に関係があり、現在存在する公共施設の管理者の協議・同意が必要。
開発行為により将来設置される公共施設を管理者することとなる者との協議が必要。
開発許可申請書の提出
①開発区域の位置、区域、規模
②予定建築物等の用途(構造、設備等は不要)
③開発行為に関する設計 ※1ha以上の開発行為の場合は一定の資格を有する者が作成した設計図書
④工事施行者
などを書面で提出。
その際、協議書や同意書も添付する(土地所有者などの相当数の同意を得たことを証する書面も添付)
33条・34条の許可基準
33条基準 | 開発許可申請が適法に行われ、かつ、申請された開発行為が33条基準に適合するときは 都道府県知事は開発許可をしなければならない |
34条基準 | 市街化調整区域に係る開発行為については、33条基準に適合し、かつ、34条基準のどれかに 該当すると認められる場合でなければ、都道府県知事は開発許可をしてはならない |
33条基準
自己が居住する住宅のための開発行為+デベロッパー
予定建築物の用途が用途地域・居住環境向上用途誘導地区などの用途の制限に適合している。
排水路、その他の排水施設が必要な構造等で、適当に配置されるように設計されている。
予定建築物の用途等が地区計画等の内容に即して定められている。
土地の所有者など、開発施行などの妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ている。
デベロッパーのみ
道路、公園、広場などが適当に配置され、かつ、開発区域内の主要な道路が、開発区域外の相当規模の道路に接続するように設計が定められている。
水道、その他の給水施設が適当に配置されるように設計されている。
開発区域内に災害危険区域などの区域内の土地を含まない。(自己の業務用の施設の開発を含む)
開発を行うに足るだけの資力や信用がある。
34条基準
市街化調整区域では、建築物の建築または第一種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為は、33条基準を満たし、かつ、34条基準のどれかに該当しなければ許可されない。
ただし、第二種特定工作物の場合は、33条基準のみで足りる。
許可基準
主として、開発区域の周辺地域に居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物、またはこれらの者の日常生活に必要な物品の販売、加工、修理、その他の業務を含む店舗、事業場などの建築のための開発行為であること。
許可不要とされているもの以外の農林漁業用建築物、または市街化調整区域内で生産される農林水産物の処理、貯蔵、加工用の建築物などのための開発行為であること。
知事が開発審査会の議決を経て、開発区域の周辺における市街化を促進する恐れがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難、または著しく不適当と認める開発行為であること。
市街化調整区域のうち、災害危険区域等開発行為を行うのに適当でない区域内にある建築物等を、その区域外に移転する目的で行う、同一の市街化調整区域の開発行為であること。
市街化調整区域であっても、市街化区域に隣接・近接する等の区域のうち、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県の条例で指定する土地の区域内における開発行為で、予定建築物の用途が都道府県の条例で定める用途に該当しないもの。
開発区域の周辺における市街化を促進する恐れがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難または著しく不適当と認められる開発行為として、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的または予定建築物の用途を限り定めたもの都道府県知事は遅滞なく、文書をもって申請者に通知する。
許可、不許可の処分
都道府県知事は遅滞なく、文書をもって申請者に通知する。
不許可になったり、許可の内容に満足できない場合、開発審査会に審査請求をすることができる。
開発許可の処分をしたときは、都道府県知事は許可に係る土地について、一定事項を開発登録簿に登録しなければならない。
公衆の縦覧に供するよう保管し、請求があれば写しを交付する。
用途地域が定められていない区域内での制限
都道府県知事は、用途地域の定められていない区域の開発行為について、開発許可をする場合は、当該区域の土地について制限を定めることができる。
①建蔽率 ②建築物の高さ ③壁面の位置 ④建築物の敷地、構造、設備
変更の許可等
開発許可申請の記載事項を変更する場合は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。
例外:軽微な変更は許可不要。ただし、遅滞なく届出必要。開発許可不要になった場合も、変更の許可は不要。
工事の廃止
開発をやめる場合には許可不要。
ただし、遅滞なく、都道府県知事に届出をする。
地位の承継
一般承継人(相続等で取得)は当然にその地位を承継する。→許可不要
特定承継人(売買等で取得)も許可は不要。ただし、あらかじめ都道府県知事の承認が必要。
工事完了後
届出
完了後、都道府県知事に届出必要。
完了検査
知事は遅滞なく、検査しなければならない。
適合していると認めたときは、検査済証を開発許可を受けた者に交付しなければならない。
工事完了の公告
知事は遅滞なく、工事が完了した旨の公告をしなければならない。
公共施設の管理・用地の帰属
公共施設を作った場合、管理や用地の帰属は、工事完了の公告の日の翌日。
公共施設は原則、その施設がある市町村が管理する。
公共施設の用地は、原則、公共施設の管理者に帰属する。
問題に挑戦!
都市計画法の開発許可に関する次の記述はマルかバツか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市にあってはその長をいうものとする。
1.都道府県知事は、開発許可の申請があったときは、申請があった日から21日以内に、許可又は不許可の処分をしなければならない。
2.開発行為とは、主として建築物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいい、建築物以外の工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は開発行為には該当しない。
3.開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4.開発行為を行おうとする者は、開発許可を受けてから開発行為に着手するまでの間に、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 開発許可2」を御覧ください。
YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。