この単元は、抵当権の中でも計算問題や判例のひっかけが集中する、権利関係の大きな山場です。
特に 法定地上権 と 一括競売 は、どちらも土地と建物の関係を扱いますが、抵当権設定時に建物があったかなかったかという一点で結論が真逆になります。
一見すると複雑な配当金の計算も、図を描いて 誰の取り分が先に決まるのか を整理すれば、パズルのようにスッキリ解けるようになります。
用語の難しさに圧倒されず、具体的な数字や事例をイメージしながら、1点をもぎ取る実力を養っていきましょう。
あこ課長ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
抵当権の順位
一つの不動産に対して、複数の抵当権を設定することができる。この場合、順位は登記の順番。
第一順位の抵当権者の被担保債権が弁済等により消滅すると、第二順位の抵当権は順位が繰り上がり、第一順位になる。
抵当権の順位は各抵当権者の合意によって変更することができるが、そのためには利害関係者の承諾が必要であり、また登記をしなければ効力を生じない。(債務者の同意は不要)
被担保債権の範囲
抵当権によって担保される被担保債権の範囲は、原則として元本のほか、利息、その他の定期金などにつき、最後の2年分に限られている。
ただし、後順位抵当権者などの利害関係者がいないときは、2年分に限定されない。
抵当権の譲渡と放棄
抵当権の仕組み


抵当権の譲渡
抵当権者が無担保の債権者に抵当権を譲渡すると、抵当権者の配当額の範囲内で、無担保の債権者が優先弁済を受けることができる。
例)抵当権者Bが無担保の債権者Eに抵当権を譲渡すると、抵当権者Bの配当額の範囲内で無担保の債権者Eが優先弁済を受けることができる。


抵当権の放棄
抵当権者が無担保の債権者に抵当権を放棄すると、抵当権者と無担保の債権者は同順位となり、抵当権者の配当額から「抵当権者:無担保の債権者」の債権額の割合でそれぞれが配当を受ける。
例)抵当権者Bが無担保の債権者Eに抵当権を放棄すると、抵当権者Bと無担保の債権者Eは同順位となり、抵当権者Bの配当額から「抵当権者B:無担保の債権者E」の債権額の割合でそれぞれが配当を受ける。


抵当権の順位の譲渡と放棄
抵当権の仕組み


抵当権の順位の譲渡
先順位抵当権者が後順位抵当権者に優先弁済権を譲渡する。
例)先順位抵当権者Bが後順位抵当権者Dに優先弁済権を譲渡する。


抵当権の順位の放棄
先順位抵当権者の優先弁済権を放棄し、先順位抵当権者と後順位抵当権者の債権額の割合でそれぞれが配当を受ける。
例)先順位抵当権者Bの優先弁済権を放棄し、先順位抵当権者Bと後順位抵当権者Dの債権額の割合でそれぞれが配当を受ける。


法定地上権
法律によって定められた地上権
法定地上権とは、土地の所有者と建物の所有者が別になった場合、一定の要件を満たせば、建物の所有者に利用する権利を当然に発生させる→法定地上権(法律によって定められた地上権)


法定地上権の成立
法定地上権は①~④の要件をすべて満たさなければいけない
①抵当権設定当時、土地の上に建物(登記の有無は問わない)が存在すること。


②抵当権設定当時、土地と建物の所有者が同一であること。


③土地と建物の一方、または双方に抵当権が設定されていること。


④抵当権の実行によって、土地と建物が別々の所有者になったこと。


法定地上権判例
法定地上権を認める
建物の所有権が未登記であっても、土地への抵当権設定当時、土地上に建物があって、それらが同一の所有者である場合。
設定当時に同一所有者で、抵当権設定後に土地と建物の所有者が別々になった場合。
法定地上権を認めない
抵当権設定当時、更地であり、その後、建物が築造された場合。
※更地として担保価値を評価したことが明らかであれば、抵当権者が築造を承認した場合も同様。
更地に1番抵当権が設定された後に、その土地上に建物が築造され、その土地上に他者のために2番抵当権が設定された場合。
一括競売
土地に抵当権を設定した当時は更地で、その後建物(抵当権設定者に限らず第三者でもよい)が建てられた場合、抵当権者は土地と建物を一括して競売にかけることができる。
※ただし、抵当権の設定対象が土地の場合、建物の競売代金から優先弁済を受けることはできず、優先弁済を受けることができるのは土地の代価のみ。


問題に挑戦!
Aは、Bに対する貸付金債権の担保のために、当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、Bはこの土地上に乙建物を築造し、自己所有とした。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述はマルかバツか。
1.Aは、Bに対し、乙建物の築造行為は、甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして、乙建物の収去を求めることができる。
2.Bが、甲土地及び乙建物の双方につき、Cのために抵当権を設定して、その旨の登記をした後(甲土地についてはAの後順位)、Aの抵当権が実行されるとき、乙建物のために法定地上権が成立する。
3.Bが、乙建物築造後、甲土地についてのみ、Dのために抵当権を設定して、その旨の登記をした場合(甲土地についてはAの後順位)、Aの抵当権及び被担保債権が存続している状態で、Dの抵当権が実行されるとき、乙建物のために法定地上権が成立する。
4.Aは、乙建物に抵当権を設定していなくても、甲土地とともに乙建物を競売することができるが、優先弁済権は甲土地の代金についてのみ行使できる。
問題の解説は「あこ課長の宅建講座 抵当権2」を御覧ください。



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ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。








