制限行為能力者の取消と追認について解説します。
制限行為能力者を守る取消しがありますが、相手方のことも考えなくてはいけません。
催告権と追認は誰に催告して、確答がない場合はどうなるのかをチェックしましょう。
また、そもそも制限行為能力者が嘘をつく、詐術を使うと取り消しできません。

ボリュームがありますので、2回に分けて投稿してます。
制限行為能力者の取消し
制限行為能力者の法律行為の取消しは、善意の第三者にも悪意の第三者にも対抗できる。




取引の相手方の保護
制限行為能力者の相手方は不安定な立場(いつ取り消しされるかわからない)となる。
制限行為能力者の相手方には催告権がある。
制限行為能力者と取引をした相手方は、1か月以上の期間を定めて確答するよう促します。
未成年者と成年被後見人は催告にそもそも効力がない。
催告の相手 | 確答がない場合 | |
未成年者 | 法定代理人(保護者) | 追認したものとみなす |
成年被後見人 | 成年後見人(保護者) | 追認したものとみなす |
被保佐人 | 本人 | 取り消したものとみなす |
保佐人(保護者) | 追認したものとみなす | |
被補助人 | 本人 | 取り消したものとみなす |
補助人(保護者) | 追認したものとみなす | |
行為能力者となった人 | 本人 | 追認したものとみなす |
詐術
制限行為能力者が、書類偽造などして、行為能力者であると信じさせるための詐術を用い、相手方が問題ないと信じた場合は、制限行為能力者を理由にその行為を取り消すことができない。


問題に挑戦!
意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述は民法の規定及び判例によれば誤っている。どこが誤っているのかを見つけ、理由を述べよ。
1.未成年者が土地を売却する意思表示を行った場合、その未成年者が成年者であると信じさせるために詐術を用いたときでも、親権者が当該意思表示を取り消せば、意思表示の時点に遡って無効となる。
2.精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。
3.意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。
4.古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。
答えは全部バツです。詳しい解説は「あこ課長の宅建講座 制限行為能力者②」を御覧ください。



YouTube:あこ課長の宅建講座も併せてご覧ください。
ブログと連動していますので、さらに理解力がUPしますよ。